2人の日本人ドライバーが斬る序盤戦、6戦で6人目の優勝者、大混戦の要因とは=F1
6戦で6人、驚きはマルドナード
マルドナード(中央)の優勝は多くのF1ファンにとっても驚きだったに違いない 【写真:ピレリ】
開幕から4戦の勝者はジェンソン・バトン(マクラーレン)、フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)、ニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)、セバスチャン・ベッテル(レッドブル)と、初優勝のロズベルグを除けば、豊富な優勝経験を持つドライバーたちであった。結果だけを見れば、今更驚くまでもないという見方もできる。しかしスペインで凱歌(がいか)を、しかも予選でポールポジションを奪い、天候急変などによる混乱もない状況で決勝を制したマルドナードによる初表彰台、初優勝という勝利には度肝を抜かれた。
元同僚・平手「マルドナードはとにかく危なっかしいヤツ」
元同僚・マルドナードの印象を振り返った平手(右から二人目) 【田口朋典】
「彼のことはフォーミュラー・ルノーのイタリアシリーズ初年度(03年)から知っています。僕も彼も1年目のシーズンとなった2003年は彼がランキング7位で僕が8位。2年目の04年は彼とチャンピオン争いをしました。最後の最後にやられちゃいましたけれどね」
その後、ふたりは07年にGP2(※F1直下のカテゴリーで昇格への登竜門とされるシリーズ)でチームメイトになる。
「とにかく危なっかしいヤツでした(笑)。GP2のモナコで優勝したんですが、同じチームですからデータを見たものの、とにかくあの市街地コースで“わずかでも行き過ぎたら大クラッシュ”というくらいにいってました。あんなことができるドライバーはあまりいない。綱渡りを1周できているので、それができないときには結果が全然出ないという印象でしたね」
平手の言葉からは、スペインでのマルドナードの優勝は彼の才能が一気に開花、常に勝てるドライバーの仲間入りをしたというよりも、彼の持つ潜在能力がさまざまな条件下で突然変異的に結果に結びついたとも受け取れる。だが、07年にGP2モナコを制した後、紆余(うよ)曲折はあれど、マルドナードは10年にGP2王者となりF1にステップアップを果たした。スペインでの勝利が彼を一段と成長させる可能性は十分にあるだろう。初優勝後のモナコGPでも大いに期待されたが、ペナルティーなどが重なり最後尾からのスタートとなった挙げ句のリタイアは残念であったが。