体操男子、2大会ぶりの団体金へ 内村ら五輪代表が持つ可能性
男子五輪代表に決まった5人。層の厚さで、団体金メダルを目指す 【坂本清】
男子代表5人が決定 げんのよい構成に
1.ゆかと鉄棒でそれぞれ上位の選手(計2人)
2.個人総合上位選手(1人)
3.1および2の選手を除き、全種目で上位ポイントを獲得した選手(1人)
こうして決まったのが上記の4人で、1のゆかでは加藤、鉄棒では田中佑、2で田中和、3で山室が選ばれた。内村以外は全員が五輪初出場。最年長は26歳の田中和、最年少は18歳の加藤である。
立花泰則男子強化本部長はチームのメンバー構成について「5人の年齢バランスを見るとアテネ五輪のときに似ている。あのときも塚原直也(朝日生命)以外は初めての五輪で、大学生の中野大輔がいた。今回も若手とベテランと中堅がうまくミックスされ、勢いがあるだけではなく、精神的にも厚みのあるチームになった」と、げんの良い構成であるという印象を語った。
また、代表選手が従来の6人から5人になったことでより狭き門になったことにも触れ、「選手たちは大変な重圧を受けながら、自らの力で五輪切符を勝ち取った。これからの合宿でしっかり準備をし、チームジャパンとして、皆でもう一つギアを上げていくことが大切だ。中国に引けを取らない5人。戦いの準備は整った」と手ごたえを口にする。
五輪ではまずミスをせず、体操ニッポン伝統の美しい演技をすることが前提となるが、最大のライバルである中国をかわし、追ってくる米国を振り切って頂点に立つ可能性は北京五輪よりも大きくなっていると言える。中国との実力差という観点でも、アテネ五輪前よりもむしろ今回の方が小さい。代表枠が6人から5人になったことも、スペシャリストの多い中国に比べ、オールラウンダーの層の厚い日本にとっては追い風だろう。
内村の強みは「プレッシャーを感じたことがない」
絶対エースの内村は「期待してほしい」と、周囲からの重圧を力に変える 【坂本清】
ロンドン五輪の団体総合予選を想定した演技構成で臨んだNHK杯2日目は、6種目ともほぼノーミスという抜群の安定感を披露。93.300という圧倒的な得点をマークした。ロンドン五輪では団体総合予選、決勝でいずれも全6種目に出場する予定だが、不安材料はまったくない。
「団体に懸ける気持ちは何よりも大きい。個人総合は1人の喜びだけど、チーム5人で取った金メダルはもっとうれしいのではないかと思う。勝負はここからなので、僕がチームを引っ張るという感じで、金メダルを目指して頑張りたい」
このように話す内村の強みは、重圧との付き合い方が極めてうまいことだ。
「僕はプレッシャーを感じたことがないので、どんどん期待してもらったら倍にして返す。だからもっと期待してほしい。五輪はその雰囲気を一番楽しんだ人が、一番になると思っている。すごく難しいことだけど、5人全員が楽しんで試合ができれば、結果はおのずとついてくると思う」と言う。