まさかの総崩れ・・・・・・世界の壁に阻まれた日本馬=ドバイWC
ドバイWC:昨年3着、地元モンテロッソが会心V
ドバイWCは地元UAEのモンテロッソが制覇。日本馬は惨敗だった 【写真:AP/アフロ】
有力馬に先行タイプが多く、展開がカギを握ると言われていたが、そんな中、果敢にハナを切ったのが、日本から参戦した昨年のこのレースの2着馬トランセンド(牡6)だった。だだし、この馬の強さを知り尽くしている他陣営が、楽に行かせてはくれず、1番人気のソーユーシンクや、前哨戦GIマクトゥームチャレンジR3(AW2000m)勝ち馬カポーニらに、終始突かれる厳しい展開となった。
3コーナーで早くもトランセンドをかわして先頭に立ったのがカポーニ。直線に向いてこれをかわしたのが、前半は中団で競馬をしていた地元UAEのモンテロッソ(牡5)で、抜け出してからさらに加速すると、最終的には後続に3馬身差をつける快勝を演じた。2着カポーニから半馬身遅れの3着が、GIガネー賞(芝2100m)を含めて欧州芝10F路線で重賞3勝の実績を誇るプラントゥール(牡5)で、さらに半馬身遅れた4着がソーユーシンクだった。
日本勢では、6着に入ったエイシンフラッシュ(牡5)が最先着。スタートのタイミングが合わず、後方からという思わぬ展開となったスマートファルコンは10着。3コーナーで早くも脚をなくしたトランセンドは最下位の13着に敗れている。
昨年のドバイWCではトランセンドに1/4馬身差及ばぬ3着だったモンテロッソ。その後休養に入り、スーパーサタデー(3月10日)のマクトゥームチャレンジR3で復帰してカポーニの4着に入り、ここへ臨んでいた。
ドバイDF:桁違いの脚! シティスケープ春の注目株に
英国のオッズで3.0倍の1番人気に推されたのが、昨シーズンの香港年度代表馬で、国際GIクイーンエリザベス2世C(芝2000m)に加えて4つのローカルGIを制しているアンビシャスドラゴン(セン5)。前哨戦のGIジュベルハタ(芝1800m)で、3着と敗れるも印象的な末脚を披露したムタハディー(牡4)が、5.5倍の2番人気に推された。
典型的な逃げ馬が不在だった中、レースを引っ張ったのは、ロイヤルアスコットのGIIハードウィックS(芝12F)を含め重賞3勝のアイルランド調教馬アウェイトザドーン(牡5)。アンビシャスドラゴンは5〜6番手、ムタハディーは中団よりやや後ろの外目につける競馬となった。
直線に向くと弾けたのが、前半は3番手にいた英国調教馬シティスケープ(牡6)。1頭だけ桁違いの脚を繰り出して、後続に4馬身1/4の差をつける圧勝を演じた。前走同様に直線で良い脚を見せて追い込んだムタハディーが2着に入っている。
一方、初めての遠征で本来の力を発揮できず、アンビシャスドラゴンは7着に敗退。日本から参戦のダークシャドウ(牡5)も、中団から自慢の末脚を繰り出すことができず、9着に敗れている。
2歳シーズンから重賞戦線に顔を出し、5歳シーズンを終えた段階で欧州マイル路線のGIII戦に3勝していたシティスケープ。それ以外にも、ロイヤスアスコットのマイルGIクイーンアンS(芝8F)で3着、昨年暮れのGI香港マイル(芝1600m)で2着となり、マイラーとしての評価が定着していただけに、200m距離が伸びたここで見せた快走は、想定の範囲を超えるものだった。管理するR.チャールトン師は、シティスケープの次走として、香港で行われるGIクイーンエリザベス2世C(芝2000m)を視野に入れていることを明らかにしている。
アルクオーツスプリント:豪州スプリント界のハイレベル証明
そんな中、英国のオッズで6.5倍の1番人気に推されたのは、2年前のGIナンソープS(芝5F)勝ち馬で、スーパーサタデー(3月10日)に行なわれた前哨戦のメイダンスプリント(芝1000m)2着の英国調教馬ソウルパワー(セン5)。このレースの一昨年の勝ち馬で、2年ぶりにドバイに渡った香港調教馬のジョイアンドファン(セン8)と、オーストラリアから遠征したオルテンシア(牝6)の2頭が、オッズ7.0倍で横並びの2番人気となった。
ゲートが開くや予想通り、名うての快速馬たちによるスピード比べとなった中、ゴール前は、いずれも前半は後方に控えていた人気馬たちによる争いとなった。
中でも1頭抜けた脚を使ったのが、スタンド寄りを追い込んだオルテンシアで、ソウルパワーに1馬身1/4差をつける快勝。ソウルパワーから首差の3着が、内ラチ沿いを追い込んだジョイアンドファンだった。
この路線の水準が高いオーストラリアで、3歳時からトップ戦線で活躍したオルテンシア。昨年11月19日に豪州のアスコット競馬場で行われたGIウィンターボトムS(芝1200m)で、自身4度目の重賞制覇を果たすとともに、GI初制覇を飾ってここへ臨んでいた。
もっとも、オルテンシアが一昨年11月のGIパティナックファームクラシック(芝1200m)で3着になった時、この馬の6馬身1/4前にいたのがブラックキャヴィア(牝5)だ。デビュー以来19戦19勝という成績で来ているこの馬が、どれだけ速いのか、この夏に予定されているブラックキャヴィアの英国遠征が、ますます楽しみになった。
日本から参戦のエーシンヴァーゴウ(牝5)は、好位で競馬をしたものの12着に敗れている。