エディーHCは日本ラグビーの救世主となるか!?=「強く、愛されるジャパン」へ始動

加藤康博

新生・日本代表を率いるエディー・ジョーンズ氏(右)と主将の廣瀬俊朗 【スポーツナビ】

 4月よりラグビー日本代表、通称「ジャパン」のヘッドコーチ(HC)に就任するエディー・ジョーンズ氏は掛け値なしの世界的名将である。
 2003年のワールドカップは母国オーストラリアを率いて準優勝。2007年の同大会では南アフリカのテクニカルアドバイザーを務め、優勝に貢献した実績を持つ。そんな人物がこの国に根を下ろし、20年間ワールドカップでの勝利から見放されている「ジャパン」の再建に立ち上がろうとしている。私たちが彼に期待するのは「強く、愛されるジャパン」だ。その成否のカギはどこにあるのだろうか。

「追求すべきスタイルはどの国もやっていない攻撃を確立すること」

 エディー・ジョーンズ氏は2009年にトップリーグのサントリーのGMに就任し、翌年からは監督も兼任してきた。そこで掲げたラグビーは「アグレッシブ・アタッキング・ラグビー」。ボールを動かし、選手も動く。ボールキャリアーだけでなく、それをサポートする選手も意図を持って動くことで相手守備陣を惑わし、スペースをつくって連続攻撃を展開することを目指した。誤解を恐れずに言えば、素人目にも楽しみやすい、華のあるラグビーである。これがジャパンでもベースとなるのだろうか?

「ジャパンが追求すべきスタイルはどの国もやっていない攻撃を確立することでしょう。オーソドックスなラグビーでは日本人の体格で世界のトップ10を目指すのは困難です。そのためにも世界一のフィットネスを身につける必要があります。私がいくらスピード感のあるラグビーを志向しているからと言って80分のゲームすべての時間帯を速いテンポでプレーすることはできません。ゲームの最初と最後でテンポアップし、中盤は時に速く、時に遅くと自分たちでコントロールすることを目指すことになります。同時に体格的な不利を補うためには基本的な技術でミスをすることは許されませんし、頭を使ったクレバーな戦い方も身につけなければなりません」
 エディー氏はそう答える。

 身長、そして体重で強豪国との差は如何ともしがたい。その差を埋めるために、ジャパンには創意工夫が求められる。その結果がボールを動かすラグビーであり、華のあるラグビーとなって見る者の目に映るのだ。

サントリーで2冠を達成 日本での成功は心強い事実

 しかし、その裏側には周到な準備が必要なことは言うまでもない。
 この2年間のサントリーは、各種の報道で「湧き出てくるような」と形容されたように、タックルを受けた後のボール争奪戦で次々とサポートする選手にボールをつなぎ、トライを狙う攻撃的なラグビーを構築した。攻撃のイメージと狙いを選手同士が共有するには、時間をかけた練習、そしてそれを実現するフィットネスが必要となる。フォワードも体躯の大きさよりも運動量を重視し、スクラムで一列目を組む選手でもチームで最もタックル数を稼ぐゲームすらあった。

 もちろんこの2年でフィジカルも大きく成長した。しかしそれによってスピードや運動量が犠牲にされることはなかった。この両立に成功したことで今季のサントリーはトップリーグ、そして日本選手権の2冠を達成したのである。
 エディー氏の哲学がすでに日本で実践され、成功を収めている事実は心強い点として挙げられるだろう。

 それを練習時間の限られるジャパンで実践するためには選手選考が重要になることは間違いない。同時にエディー氏は若年層からフィットネスやスキルを磨くプログラムをつくることも明言している。すでに20歳以下の日本代表は中竹竜二新監督のもと始動しており、日本ラグビー協会が主導し、若い選手にハイレベルのコーチングを施す試みは始まっている。今後はエディー氏の関わりも増え、より深化していくことが予想される。
 2015年、そして2019年のワールドカップ日本大会までを考えれば、その主役はまぎれもなく今の大学生、そして高校生である。こうした取り組みはジャパンの将来に向けた重要な布石となるはずだ。

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著者プロフィール

加藤康博

スポーツライター。「スポーツの周辺にある物事や人」までを執筆対象としている。コピーライターとして広告作成やブランディングも手がける。著書に『消えたダービーマッチ』(コスミック出版)

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