バトン、開幕戦Vへの3つのポイント=F1 戦い続けた可夢偉は6位入賞をつかむ

吉田知弘

後続のライバルをうまく突き放したバトン

2番グリッドから先頭に立つと、そのまま快走したバトン、その勝利の要因とは 【写真:ピレリ】

 いよいよ開幕した2012年のF1世界選手権。最多6人のチャンピオン経験者がそろったシーズンの幕開けとなった開幕戦オーストラリアGPを改めて振り返っていく。

 開幕戦オーストラリアGPは2位スタートのジェンソン・バトン(マクラーレン)が2番手スタートから1コーナーで首位に立ち、セバスチャン・ベッテル(レッドブル)といった強敵を尻目に、完ぺきなレース運びで開幕戦を制した。勝因となった“ポイント”はどこにあったのだろうか。

ポイント(1)スタート直後のスパート

 2番グリッドからスタートしたバトン。1コーナーでルイス・ハミルトン(マクラーレン)をかわし、首位でレースを進めていく。レース序盤で周回遅れとなるマシンも目の前にはおらず、「自分のペース」で走ることができる。バトンは最初の5周でスパートをかけ、5周終了時点で2位ハミルトンに対して3.1秒のリードを築いた。ここまで差をつけてしまえば、バトンとしては後方からのプレッシャーを気にすることなく、時にはスパートをかけ、時にはタイヤの温存のためにペースを抑える“バトン主導”のレースを進めることができた。

 一方、スタート直後に首位を奪われたハミルトンは、それがきっかけで後手を踏む展開を強いられた。1回目のタイヤ交換直後は、後方からミディアムタイヤで追い上げてきたセルジオ・ペレス(ザウバー)の後ろでコース復帰。ペレスを追い抜くのに時間がかかり、後方から追い上げてきたベッテルに追いつかれ、最終的にはベッテルの先行を許し、3位に後退してしまった。

バトン、ハミルトン、ベッテルの3人のタイム差を比較。ベッテル、ハミルトンの誤差が見えてくる(拡大してご覧ください) 【吉田知弘】

ポイント(2)想定外の事態も適切に対処

 レース中盤は後続に対して10.8秒の大差をつけて独走状態を築いていたバトンだったが、想定外のことが起こる。36周目にマシントラブルでメーンストレート脇に止まったマシンを撤去するため、セーフティカー(以下SC)が導入され、今まで築き上げてきたリードがゼロになってしまったのだ。さらにこのSCのタイミングを利用して、最大のライバルであるベッテルが2位浮上。リスタート直後にベッテルがバトンを抜き去るのは時間の問題かと思われた。

 しかし、42周目にリスタートが切られると、バトンが一気にスパートをかけベッテルを突き放す。ベッテルも必死に攻めるもバトンのスパートについていけず、あっという間に3.9秒まで広がってしまい、勝負あった。バトンが開幕戦オーストラリアGPでトップチェッカーを受ける結果となった。

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著者プロフィール

1984年生まれ。幼少の頃から父の影響でF1に興味を持ち、モータースポーツの魅力を1人でも多くの人に伝えるべく、大学卒業後から本格的に取材・執筆を開始。現在では国内のSUPER GT、スーパーフォーミュラを中心に年間20戦以上を現地で取材し、主にWebメディアにニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載。日本モータースポーツ記者会会員

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