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FC東京、“魅せる”サッカーで旋風を
J2で身に付けた自信とたくましさを武器に

クラブに根付くポゼッションサッカー

初参戦となったACLでは敵地での初戦に快勝。今、FC東京のサッカーに注目が集まっている
初参戦となったACLでは敵地での初戦に快勝。今、FC東京のサッカーに注目が集まっている【Getty Images】

 FC東京のサッカーがおもしろい、強いと、にわかに注目が集まっている。しかし昨日きょう、サッカーが突然変わったわけではない。


 ポゼッションへの取り組みなら、2001年の大熊清監督時代(第1期)、06年のアレシャンドレ・ガーロ監督時代にも行っていた。原博実元監督が指揮を執った07年(第2期)の夏も、栗澤僚一らを擁し、なかなかいいサッカーで中盤を支配していた。最終ラインからのビルドアップという色が出始めたのは、足下の技術がある今野泰幸とブルーノ・クアドロスをセンターバックに置くようになってから。09年、城福浩監督時代のことだ。


 昨年末、大熊清前監督(第2期)が退任を発表した際、立石敬之強化部長に「最終ラインからつなぐサッカーを志向する監督となると候補者が限られるが」と、次期監督が誰かを問うと「FC東京のサッカーをそう思ってもらえるのはありがたい」と切り返された。

 つまり監督の交替に伴ってサッカーが根底から変わってしまうということは、FC東京の場合にはない。クラブ自身に自分たちはつなぐサッカーをするのだという決意があり、そのサッカー観に沿う監督として、FC東京はランコ・ポポヴィッチを連れてきた。監督が交替したことでポゼッションサッカーに突如なったわけでもなければ、ポポヴィッチ監督だから唐突にブレイクしたわけでもない。10年かけて構築してきたベースのうえに、ポポサッカーが成り立っている。


 パスをつなぐ印象が強いようだが、AFCアジアチャンピオンズリーグ(ACL)のブリスベン・ロアー戦、J1開幕戦の大宮アルディージャ戦を見る限りでは、むしろ勝負強さが目立つ。昨季、大熊前監督に球際の強さなどの“本質”をたたき込まれながら戦ったJ2での経験が生きている。ブリスベン戦では2−0、大宮戦では1−0としたあと、東京イレブンはふてぶてしいまでに時間を費やして相手の反撃を許さず、無失点のまま試合を閉じた。


 ブリスベン戦のあと、羽生直剛はこう言っていた。

「(パスを)回して時間を費せたのは、最低限(できているべき)のクローズの仕方。いつでも3点目を狙いながら、ダメなときにはしっかりやり直してマイボールで時間を稼ぐ、やめるときははっきりやめることができるようになればいい。みんなで話し合ってやれる(戦い方を調節できる)ようになったのは、J2での戦いを通して得られたものかもしれない」

特徴は相手陣内でゲームを進める姿勢

 押してダメなら引いてみな、の言葉どおり、昨季にJ2で対戦したチームはことごとく前がかりのプレスでFC東京の攻撃を封じようとし、それがかわされるとリトリート(後退)してブロックをつくった。ゆえに、いかにして堅く閉じた相手ゴールをこじ開け、リードを維持して勝ち切るか、東京イレブンはその方法を体得することができた。


 J2特有の良くないピッチコンディションや観客の後押し、異なる気候、過密日程、長距離の移動などは、国内にいながらにしてACLに似た状況を経験していたようなもの。身についたたくましさが、最後には天皇杯優勝につながった。今季、パスを回せないときであっても、大熊東京の地力が出て試合を壊さない辺りに、昨季までの蓄積と今季の試みがうまい具合にコネクト、またはハイブリッドしている様子がうかがえる。


 もちろん、ポポサッカー自体がFC東京をブレイクさせていることも事実だろう。大きな声で選手をしかるポポヴィッチ監督は大熊前監督の闘魂を継承していると言えるが、そのうえで戦術上の新味が加わり、相手にとっての脅威となっている。


 特徴は、ボールを保持して常に主導権を握り、相手陣内でゲームを進める姿勢。相手が誰であろうと、スタジアムがどこであろうと、この姿勢は変わらない。


 権田修一は大宮戦のあと「自分たちからアクションするというのを考えないといけない。リアクションで耐えました耐えました、というのは、あまり監督が好むサッカーではない」と言った。

後藤勝

サッカーを中心に取材執筆を継続するフリーライター。FC東京を対象とするWeb/メールマガジン「トーキョーワッショイ!プレミアム」(http://www.targma.jp/wasshoi/)を随時更新。著書に小説『エンダーズ・デッドリードライヴ 東京蹴球旅団2029』(カンゼン刊 http://www.kanzen.jp/book/b181705.html)がある。【Twitter】@TokyoWasshoi

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