開花し始めたアルゼンチン代表のメッシ

代表の絶対的なリーダーとなったメッシ

サベーラ監督(左)がようやく、メッシの才能を生かせる形を見いだし始めた 【写真:AP/アフロ】

 アルゼンチン代表にとってのテスト期間はもう終わった。6月にはニュージャージーでブラジルと親善試合を行うほか、ホームでエクアドルとワールドカップ(W杯)・南米予選の第5節を戦う。8月15日にはドイツと親善試合を行う予定だ。

 大人の顔つきになってきたメッシは今、アルゼンチン代表の絶対的なリーダーとなった。チームはそんな彼を全面的にサポートしており、これまでキャプテンとして口を開いてきたマスチェラーノも、その役割をメッシに任せて口を閉じるようになった。

 現在、代表チームのマネージャーを務めるカルロス・サルバドール・ビラルドは、監督として臨んだ1986年のW杯・メキシコ大会で、それまでキャプテンを務めたダニエル・パサレラではなく、ディエゴ・マラドーナにチームの全権を託して優勝を成し遂げた。はたしてサベーラは、師の成功から学んだまな弟子となるのだろうか。

 あの大会でマラドーナが付けたキャプテンマークは、彼が世界の頂点に登りつめる一因となった。選手にはそれぞれ違った個性があるとはいえ、それがメッシには当てはまらないとも思えない。むしろその逆で、キャプテンマークはメッシに、これまで以上の安定感を与えるとともに、バルセロナと同じパフォーマンスを見せなければならないというプレッシャーを取り除く役割を果たしたように思える。

 3−1の勝利に加え、今回のスイス戦では、いくつかの興味深い発見が得られた。サベーラは落ち着いた心境で、帰国の途に就いたことだろう。

<了>

(翻訳:工藤拓)

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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