伏兵・山本が一気に飛躍 「やってきた練習に自信がある」=びわ湖毎日マラソン
山本は佐川急便の中野監督も認める練習好き。日ごろの努力が大一番で実った 【写真:杉本哲大/アフロスポーツ】
二転三転の日本人トップ争い
ペースメーカーは1キロ3分の設定から少し遅れたが、20キロを1時間0分23秒で通過。40人以上の大集団の前方に堀端、中ほどに中本や昨年12月の福岡国際4位で選考レースに再チャレンジする今井正人(トヨタ自動車九州)、今年の箱根駅伝2区区間賞の出岐雄大(青山学院大3年)らがおり、山本は一歩下がった位置につけていた。
レースが動いたのはペースメーカーが外れた25キロ地点。海外勢が流れを変えた。日本人選手の対応は二分した。堀端と出岐は果敢に食らい付き、中本や山本らは2時間7分台を狙える好ペースということもあってリズムをキープ。結果的にこの選択が明暗を分けることになった。
30キロを過ぎると、スタミナと粘りが武器の堀端が日本人トップを独走。表情はゆがむが、前回も同じようにもがきながら日本人トップとなっているだけに中本ら後方からの追い上げは難しいかと思われた。しかし、このレースに懸かっているのは4年に1度の五輪。選手個々にプレッシャーもあれば、野心もある。35キロから中本が堀口貴史(Honda)とともに出岐をかわし、堀端に迫り始めた。
スタミナ自慢の堀端だったが、前半の給水ミスの影響か、あるいは雨が体温を奪ったのか、35キロを過ぎると目に見えて推進力が低下。37.9キロ、とうとう中本が堀端をとらえた。
だが今回のびわ湖はこれで決まらない。一度は中本と堀口らの集団から離された山本が「マラソンは余裕があっても苦しい場面がくる。そこでしがみつけば楽になるときがくる。五輪、五輪」と念じながら余力を振り絞る。39.3キロで堀端を、39.6キロで堀口を抜き、中本にみるみる迫った。40キロ地点で9秒差、残り1.4キロで4秒差、残り600メートルで2秒差。そして、残り400メートルで山本が力を込めた足取りで逆転。中本にやり返す体力は残されていなかった。