テニスプレーヤーはどうしてゴルフが好きなのか=杉山愛コラム「愛’s EYE」

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私も始めた時から「楽しい」って思えました

杉山愛も「きれいな景色も楽しめるし、リラックスできる」と絶賛するゴルフコース 【Getty Images】

「テニスプレーヤーは、なぜゴルフが好きなの?」

 今回は読者の方から寄せられた、こんな質問に答えてみたいと思います。
 確かにゴルフ大好きというテニスプレーヤーは多いですね。一つには、プレーしやすい環境にあることが理由だと思います。北米シリーズでは、パームスプリングスや女子はラコスタといったリゾート地でも大会が行われます。これらの会場はテニス施設とゴルフ場がセットになっていて、そこに泊まって試合をします。ですからゴルフクラブ持参という選手も結構多いんです。春の北米シリーズは10日間のトーナメントが2大会続くので、時間にも余裕があり、ゴルフをする選手が多いですね。

 私自身、ゴルフを始めたのは20歳のころなので、デビューは意外に早いほうですね。道具を使ってボールを捕らえるスポーツなので、テニスと似ているところもたくさんあるし、私も始めた時から「楽しい」って思えました。若いころは、米国でトーナメントがあるときは時間があればコースに出ていました。米国のゴルフコースは気軽にできるのが一番いいですね。きれいな景色も楽しめるし、リラックスできる。ハードではないけれど、歩けるのでいい運動にもなります。リフレッシュには最高ですね。

ゴルファーとテニスプレーヤーのカップルも多いです

 ロリー・マキロイ(北アイルランド)とキャロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)など、ゴルファーとテニスプレーヤーのカップルも多いですよね。マキロイは、テニスの大会に来てプレーヤーズラウンジでみんなとビリヤードをしたりしています。ほかにもアナ・イバノビッチ(セルビア)とアダム・スコット(オーストラリア)とか。以前はマルチナ・ヒンギス(スイス)とセルヒオ・ガルシア(スペイン)というカップルもいましたね。

 ガルシアもウィンブルドンやUSオープンを見に来たり、テニス選手の知り合いも多いんです。以前、会場で彼がマーディ・フィッシュ(米国)とラリーしているのを見ていたら、ガルシアがコートの中から「見ないでよ、アイ」と。「え? 私のこと知ってるの?」と思ったのですが、彼もテニスが好きで試合も相当見ているんだろうなと思いました。

 私自身、ゴルフが好きなので、スコットのような選手がテニスの会場に来ると、ちょっと興奮します。テニス選手に会うのは当たり前だから、興奮もしないんですけど……。コート際で見ていたりすると、自分のことを見ているわけじゃないんだけど、ちょっとドキドキしたり。ミーハーなところが出てきちゃうんです(笑)。

 テニスとゴルフはどちらも個人競技で、ツアーでは1週間単位であちこち転々とするという、よく似た環境下での競技なんですね。だから通じ合える部分がすごく多いと思います。「わかりあえる」ということで、カップルがたくさん誕生するのかもしれませんね。

共通点はメンタルスポーツであること。技術的にも似ています

 相手との駆け引きがあるのがテニスで、ゴルフは対コース、対自然というスポーツですよね。一見すると違うように見えて、実は両方ともメンタルスポーツなんですね。メンタル面が80%、90%を占めると言われるくらい、精神的にタフでなければ戦えないのがテニスでありゴルフなんです。そういうところがすごく似ているなと思います。

 技術的にも、両方ともボールを面でとらえるスポーツなので、似ていますね。アプローチのタッチなど、けっこうテニスと似ているところが多いです。だから男子選手など、ハンディキャップはシングルという人が多いんです。私も90台のスコアで回っています。

 テニスでは動いているボールを打つのだから、止まっているボールならもっと簡単では、という人もいますが、ボールを捕らえる面が小さいので難しいですよ。手元の角度の1度の狂いが、先に行ったら何メートル、何ヤードと違うという繊細さがあるし、しかも、それをダイナミックな動きの中でやらなくてはいけない。そういう点から、ゴルフも真剣に取り組んだら難しいだろうなと思います。

<了>
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