樋口士郎監督「四中工での3年間が選手権以降につながっている」=四日市中央工監督 決勝後会見

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出せる物をすべて出してくれた

――選手としても決勝を経験しているが、決勝に向けて選手にどのように接したのか?

 僕が高校生の時はまさか決勝戦まで行くと思っていなかった時代。伸び伸びとやっていた。指導者として気をつけたのは、選手に自分たちの良さを出させてあげたいという気持ちだった。選手に伸び伸びとやらせたかった。

――下級生が多いチームで来年以降も期待できるのでは?

 たくさんのメンバーが残るが、これで来年は良いかというと、そうではないという経験をたくさんしている。今年のチームの1、2年生の攻撃の良さを引き出すのは(3年生の)國吉や西脇の守備や精神の部分。1、2年生たちは技術はもちろん伸ばしていかなければいかないが、もっともっとハードワークできるように、苦しい時に自分たちでチームを変えていける、技術にプラスアルファをするメンタル的な部分が必要。彼らにとっては(取り組むのが)嫌なところだと思うが、そこのベースを上げないといけないと思う。

――Jユースとのすみ分けが進む中、高校サッカーでもパスサッカーを見せるチームが増えているが、高校年代全体の取り組みについての監督の考え方を聞きたい

 バルサという理想的なサッカーがあるが、その本質はうわべだけのパスがボンボン回るところでなく、トップクラスの選手が相手選手のボールになった瞬間に(守備の)ポジションを取って連動するところ。高体連はハードワークやメンタルが強調されがちだが、質を上げていかないといけない。Jユースはボールがしっかり動くけど、球際の問題とか苦しい時に頑張るとか、シビアな場面の勝負強さとかのウイークポイントを補っていくアプローチをしていくことが大事。

 僕は目の前にいる選手が卒業後の活躍にいかにつながるかを考えて指導している。大学に行ってから卒業生がたくさん活躍したり、JリーグやW杯にたくさん出ているねということになればいい。勝つことも素晴らしいことだが、将来のことを抜きにして選手権だけというのは僕の立場では考えていない。大学1年でレギュラーとか、大学を経てプロ入りする選手は結構多い。今度うちの弟(樋口靖洋)が横浜F・マリノスの監督をやるが、トップクラスの選手も指導者も出ている。四中工での3年間が、選手権以降の部分につながっているところを評価していただけるとうれしい。

――PKを2度切り抜けるなど粘りを見せて勝ち上がって来た。要因は?

 PKの練習は1メートル遠いところから蹴らせているので、本番では距離が近く感じるような対策をしているが、(要因はそこではなく)選手権は短期決戦なので、流れに乗ったなと。それは僕らには分からない、わけの分からん風が吹いてきたという印象。

――選手に対する気持ちは?

 選手には感謝の気持ちしかない。このメンバーで国立競技場で僕らにしてはいいサッカーをできた感触がある。出せる物をすべて出してくれた。褒めてあげたい。

――同点ゴールを決められた瞬間の気持ちは?

 コーナーキックが続いていたので、やっぱりやられたなというのが正直な気持ち。延長に向けてどういう指示が必要かを考えた。

<了>

取材:平野貴也

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