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新たな挑戦を模索する王者バルセロナ

大勝は偶然に生まれたものではない

クラブW杯で歴史的大勝を成し遂げ優勝したバルセロナ。今後は勝ち続けるという挑戦に挑む
クラブW杯で歴史的大勝を成し遂げ優勝したバルセロナ。今後は勝ち続けるという挑戦に挑む【写真:ロイター/アフロ】

 クラブワールドカップの決勝で4−0の大差がつくことや(しかも勝者はさらに2本のシュートをゴールポストに当てている)、前半20分の時点で勝者がはっきりしてしまうことなどめったにない。だが、日曜(18日)に横浜国際総合競技場で行われた試合で、バルセロナはサントスを相手にそのような歴史的大勝を成し遂げてしまった。


 これだけ絶対的な大本命のチームが勝者となり、敗者がまるでパーティーの招待客のような立場に置かれることはまれだ。しかも、その敗者は自分たちが相手に劣ることを認めた上、90分間で多くのことを学ばせてもらったとまで発言している。


 バルセロナにこれだけ確固たる実力差を見せつけられたのはサントスだけではない。準決勝ではカタールのアルサッドが同じく0−4で敗れた。6日のチャンピオンズリーグでは、ベラルーシのBATEボリソフがBチーム中心のメンバーで挑んだバルセロナに、やはり同じスコアで大敗している。


 これらの大勝のどれ1つとして、偶然に生まれたものではない。それは確固たるプレー哲学、そして対戦相手やルールに対する紳士的な振る舞いを貫くことから生まれている。


 横浜でサントス相手にはっきりと示したように、確固たる信念を持ち、どんな試合でも常にその信念を貫くことで多くの人々から世界一のチームと評価されてきたバルセロナは、今や公式に世界の頂点に立った。経験豊富なサントスのムリシー・ラマーリョ監督は、先発メンバーにFWがいなくても攻撃的なフットボールができることを学んだと認めざるを得なかった。


 グアルディオラとバルセロナの選手たちは、決勝に勝つための最良の手段が自分たちのプレースタイルを昇華させることだと理解した。つまり、サントスのブラジル人アタッカーたちが一度たりとも危険な状況を作れぬよう、ボールポゼッションを極限まで高めることを目指したのである。

バルセロナの支配はいつまで続くのか

 彼らの狙いはボールを動かしてゴールチャンスを作り出すだけではなく、相手にボールを持たせず、ボールの後を追わせ続けて心身ともに消耗させることにあった。「われわれがたくさん走っているように見えるかもしれないが、そうではない。走っているのはボールなんだ」というグアルディオラの言葉には、世界中が目撃した最高のフットボールが集約されていた。


 グアルディオラが就任してからの3年半で2つ目の世界タイトルを手にし、獲得可能な16タイトルのうち13タイトルを制してきた今、浮かんでくるのはバルセロナの支配がいつまで続くのかという疑問だ。答えは恐らく、勝ち続けたいというモチベーションを継続できるかどうかなのだろう。そしてバルセロナのような若いチームを見る限り、彼らが唯一無二の歴史を作るチャンスを逃すとは思えない。


 2人の新戦力、アレクシス・サンチェスとセスク・ファブレガスを獲得したグアルディオラの判断は、今のところ正しかったと言うことができる。対戦相手を圧倒し、弱小化させるチームのプレースタイルに素早く適応した2人は、天才リオネル・メッシにその才能を最大限に発揮させるのが鍵だということもよく理解している。


 今後もカルレス・プジョルがトロフィーを掲げる写真が毎年のように繰り返されるのだろうか? そうはならないと考える理由が見当たらない。選手たちの年齢はこのサイクルがまだまだ長く続くことを示しているし、何よりバルセロナ相手に真っ向勝負を挑めるようなチームが思い浮かばない。


 セスクが言っていた通り、バルセロナはコパ・デル・レイ(スペイン国王杯)のオスピタレット戦であれ、サントスやミランが相手であれ、常に同じスタイルでプレーしている。多くの選手はスペイン代表でもタイトルを勝ち取っている。今後、ほかのクラブが今までにない強化方針を打ち出したり、どこかの指導者が革命的なプレー哲学を思いついたりしない限り、今の状況が変わると考える理由が見つからない。


 今後バルセロナは、勝ち続けるという挑戦に挑むことになる。戦術的観点から言えば、今後もグアルディオラはディフェンダーを中盤や前線に起用していくことだろう。いずれにせよ、このチームの鍵はその明確なプロジェクトにある。それはフットボールを愛するすべての人々が祝福すべきことだ。


<了>


(翻訳:工藤拓)

セルヒオ・レビンスキー/Sergio Levinsky
セルヒオ・レビンスキー/Sergio Levinsky

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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