クラブW杯に懸けるバルセロナの本気度=スペイン人記者が語る大会の位置付け
モチベーションはどれほどのものか
バルセロナにとって、クラブW杯は「リーガ、CLの次に来る3番手の大会」と位置付けたオリベロス記者 【小澤一郎】
クラブW杯が「クラブ世界一を決める大会」であるのは誰もが理解しているが、果たして欧州王者でシーズン真っただ中のバルセロナが、どれほどのモチベーションで日本に乗り込んできたのかは、われわれとしても気になるところ。
特に12日の初練習後にいきなり丸1日近い自由時間を、横浜や東京でおのおのに満喫するバルセロナの選手の様子がソーシャルメディアを中心に伝わってきたため、日本のサッカーファンには親近感こそ伝わってきたが、バルセロナの本気度については「まだ未知数」と感じる人も多いはずだ。
個人的には、2009年にUAE(アラブ首長国連邦)で開催されたクラブW杯で、バルセロナが優勝した後のグアルディオラ監督のうれし涙が、そういう疑問に対する答えであり、来日以降の監督、選手の言動を見ても今大会への本気度、意気込みは十分だと感じている。
スペイン国内でも、バルセロナが来日する直前の10日にレアル・マドリーとの“エル・クラシコ”(伝統の一戦)があっため、報道量という意味ではまだまだボリュームに乏しいのだが、バルセロナの地元メディアを中心にようやく盛り上がりを見せつつある。今回は建前もお世辞も一切なく、バルセロナがダメな時には「ダメ」とストレートな物言いができる来日中のスペイン人記者たちに、「実際、バルサの本気度はどうなのか」を探るべく、12日と13日に話を聞いて回った。
リーガ、CLの次に来る3番手の大会
少々大げさには聞こえるが、日本好きであることがよく分かる『ムンド・デポルティーボ』紙のクリスティーナ・クベイロ記者は、バルセロナが今大会に懸ける意気込みについてこう語る。
「今日(12日)の会見でペップ(グアルディオラ監督の愛称)が説明していた通り、バルサにとってはとても重要な大会であり、とても価値を置いています。それは本当です。クラシコの後と日本への移動、そして時差によってコンディション面で心配はありますが、モチベーション面での心配は全くありません。ペップは、今季スタート時点から『このクラブW杯のタイトルを獲って2011年を締めくくる』と準備を進めてきました。その証拠に、スカウティングの担当者2名をチームより早く日本に送り込み、エスペランスとアルサッドの試合をスタジアム観戦させた上でリーガやチャンピオンズリーグ(CL)と同じような徹底分析を指示しています。今年3つ目となるタイトルを本気で獲りに来ているのは間違いありません」
一方、「グアルディオラにとって最優先はリーガ」と主張するのがラジオ局カデナ・コペのマノーロ・オリベロス記者。「リーグ戦というのは安定した戦いと勝ち点3の積み重ねを求められるので、真のチャンピオンを決める大会と呼ぶことができます。CLはシーズンを通して行われ、参加チームのレベルと高額な賞金から価値は非常に高いのですが、決勝トーナメント以降はノックアウト方式の短期決戦で、運が結果を左右する要素も強い。クラブW杯も確かにリーガで上位に入り、CLで優勝しないと出場できない希少価値の高い大会ではありますが、リーガ、CLの次に来る3番手の大会であることも事実でしょう」