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セスクが備える知性、見抜く力は天賦の才
カンテラ時代のコーチが明かす最大の強み
セスクにはスピード、並外れたテクニックはないが、バルセロナでプレーするのに必要な知性を備えている
セスクにはスピード、並外れたテクニックはないが、バルセロナでプレーするのに必要な知性を備えている【Getty Images】

 バルセロナの「4番」は、新加入ながら何年もチームの中心としてプレーしていたような風格を漂わせている。それも当然のことだろう。なぜなら、セスク・ファブレガスはバルセロナのカンテラ(下部組織)で育ち、リオネル・メッシやジェラール・ピケとともにプレーしていたのだから。つまりセスクは、幼少期からバルサスタイルをたたき込まれ、「バルサのサッカーをする上で必要なこと」を身につけているのだ。


 セスクがバルセロナのカンテラでプレーしていた時のコーチが、カルレス・ロマゴサである。彼は現在、バルセロナのメソッド部門の責任者を務めるジョアン・ビラとともに、「サッカーサービス」という組織を立ち上げ、カタルーニャサッカー協会やヨハン・クライフスポーツ大学などで、選手育成、指導者養成に携わっている。

 育成年代の指導に長年携わり、「子供たちのプレーを改善することが、トップレベルのプレーヤーになるために大切なこと」と考えるカルレスに、セスクの過去と現在、未来について語ってもらった。

――セスク・ファブレガスのプレーを初めて見た時、どのような印象を持ちましたか?


 わたしはセスクが10歳から11歳のころ、カンテラで指導をしていました。彼のプレーを初めて見た時は衝撃を受けましたね。セスクはマタロー(バルセロナにある都市)で、自分よりも年上の子供たちとプレーをしていたのですが、「ほかの選手よりも先に、試合中に起こるであろう現象を見抜く力」を備えた選手でした。彼は1つのプレーごとに適切な場所にいるので、彼からボールを奪うことは不可能に近かったのです。なぜなら、相手チームの選手がセスクにプレッシャーをかけようとしても、彼はそれよりも先に、より良いポジションにいる味方にパスをしてしまうからです。わたしは彼のプレーを2分見ただけで、バルサに必要な選手だと実感しました。


――セスクは10歳の時点で、ほかの選手との違いを際立たせていたのですか? 


 セスクとほかの選手との大きな違いは、試合中に起こるであろうことを、前もって予測できる能力の有無です。セスクは試合の流れを読み取る能力に長けていました。どのように物事が進むのかを察知して、常に適切なポジションを見つけ、その場所にいるのです。この能力は、試合において大きな強みになります。


――逆に、セスクが苦手としていた部分はありましたか?


 彼が12歳の時、バルサのコーディネーターは、わたしたちにいくつかの体力テストと技術テストを実施するよう要請してきました。そこでテストをしてみると、セスクはスピード面ではかなり数字が悪く、技術のサーキット練習でも目立った結果を残せませんでした。それどころか、彼よりも年下の選手で、いい成績を残す選手が何人もいました。


――スピードもテクニックもそれほど目立っていなかったのですね


 その通りです。ただし、彼にはほかの選手が持っていないものを備えていました。それが、先程から話している「知性」です。セスクはほかの選手よりも視野が広く、適切なプレーの選択をすることができます。だからこそ彼は、試合中ボールを奪われることなく味方にパスをつなぎ、決定的な場面を作り出すことができるのです。

鈴木智之

スポーツライター。『サッカークリニック』『コーチユナイテッド』『サカイク』などに選手育成・指導法の記事を寄稿。著書に『サッカー少年がみる みる育つ』『C・ロナウドはなぜ5歩さがるのか』『青春サッカー小説 蹴夢』がある。TwitterID:suzukikaku

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