ネイマール「バルセロナは最高のチーム、でも僕らは勝てる」=FIFAクラブワールドカップ ジャパン 2011

クラブW杯ではバルセロナとの対戦する可能性もある。ネイマールは「世界のトップに立ちたい」と意気込む 【写真:アフロ】

 レアル・マドリーやバルセロナなどのビッグクラブが注目し、欧州移籍がうわさされていたサントスのネイマールは先日、2014年までのクラブ残留を正式に決めた。今年のFIFA(国際サッカー連盟)バロンドール(世界年間最優秀選手賞)候補にも選ばれているクラブの若き19歳のエースは、かつてサントスに所属していた“サッカーの王様”ペレからもその才能を評価されている。

 ネイマールがサントスでデビューを飾ったのは09年3月。すぐに中心選手となると、今年のコパ・リベルタドーレスでは6ゴールを決めてクラブ史上3度目の優勝の立役者となり、チームをクラブワールドカップ(W杯)出場へと導いた。また、ブラジル代表では10年8月に初招集されてデビューを果たし、今年7月に行われたコパ・アメリカ(南米選手権)では4試合に出場し2得点をマーク。いまや代表に欠かせない選手となったネイマールは、人気、実力ともにブラジルのスター選手である。

 12月に行われるクラブW杯でクラブ世界一を目指すサントスは、欧州王者バルセロナと決勝で対戦する可能性が高い。ネイマール自身も「決勝でバルセロナと対戦できたら夢のよう」と実現を心待ちにしている。リオネル・メッシらスター選手との競演にも自信を見せるネイマールに、大会への意気込みとサントスの魅力を語ってもらった。

バルセロナのサッカーが大好き

――決勝でバルセロナと対戦する可能性があるクラブW杯が刻一刻と近づいているね。今の心境は?

 不安と期待が入り混じった気持ちだよ。決勝でバルセロナと対戦できたら夢のようなことだから。バルセロナの試合は時間があれば常に見ているんだ。バルセロナのサッカーが大好きだし、プレーしているのは世界最高の選手たちばかりだからね。選手個々もチームとしても、信じられないようなプレーを見せてくれる。いつもテレビで見ている彼らが目の前に現れたら、奇妙な気持ちになるかもしれない。でも、忘れてはならないのは、バルセロナと対戦できるだろう決勝に進出するには、まず準決勝を勝ち上がらなければならないということ。昨年インテルナシオナルが準決勝でつまずいたことを教訓にして、過信しないよう気をつけないといけない。

――バルセロナに勝つにはどうすればいいと思う?

 幸いにもサッカーではあらゆることが起こり得る。バルセロナがアルゼンチンのエストゥディアンテスに敗れる寸前まで追い込まれた2年前の決勝も良い例だ。バルセロナはあと数秒で負けるところだった。妥当な結果ではないかもしれないけど、可能性はある。恐らく僕らが最高の日にあたり、すべてがうまくいけば勝つことはできると思う。

――実際バルセロナは、過去に2度クラブW杯の決勝で敗れている。1992年のトヨタカップではサンパウロに敗れ、2006年大会ではインテルナシオナルに敗れたね

 そう、だから3度目もあり得るだろう? 僕らはとても良いチームで、どんな大会でも常に優勝を目指して戦ってきた。たとえ、バルセロナがリオネル・メッシのような世界一の選手を擁する大本命のチームだとしてもね。

――ブラジル人の君がライバル関係にあるアルゼンチンの選手を称賛するなんて珍しいね

 でもそれが真実であり、否定する理由もない。メッシは世界一の選手で、公式に2度もバロンドールに選ばれている。あれだけ素晴らしいプレーを見せているんだから、恐らく次の受賞者も彼で決まりだよ。

メッシはほかの誰よりも優れた選手

――君は自分を彼のライバルとは考えていないの? サントスの英雄ペレは君とマラドーナを比較しているけど

 ペレには感謝しているよ。将来的に比較に値する選手になれるかもしれないけど、僕はまだ19歳だし、個人的にメッシはほかの誰よりも優れた選手と思っているんだ。

――君もFIFAバロンドール候補の23人に選ばれているよね

 そうだね。感謝しているし、選ばれてとても幸せだよ。今はそのリストに入っているだけで満足している。まだ僕は若いから。

――君はその若さでバルセロナとクラブ世界一の座を競うかもしれない。それにバルセロナやレアル・マドリーとの関係が度々報道されている。プレッシャーは感じない?

 そんなこと考えていられないよ。そうでなければプレーすることなんてできない。2クラブが興味を抱いてくれたことは本当にうれしかったし感謝しているけど、僕はもうサントスと2014年まで契約を延長した。今はこのクラブで幸せに過ごしているんだ。

――そこまで君を引きつけるサントスの魅力とは?

 ペレとともに2度のコパ・リベルタドーレス、2度のインターコンチネンタルカップなど、多くのタイトルを獲得した特別なクラブさ。トップレベルの地位を取り戻すまでに長い年月を要したけど、今は神様のおかげで再び元の地位に戻ることができた。史上3度目のリベルタドーレスを制したこのチームの一員になれて、本当にうれしいよ。ファンは今、至福の時を過ごしている。僕らの望みは今後も彼らにタイトルをもたらし続けることであり、そのために万全の準備を整えている。チーム力を保つべく、たくさんのオファーを受けながらも、僕の残留に尽力してくれたクラブには本当に感謝しているんだ。

――サントスの強みとは?

 僕らは1つのチームであり、公平であるためにはすべての選手について触れなければならない。だから素晴らしい監督であるムリシ・ラマーリョの名前だけ挙げておきたい。時間をかけたチーム作りと素晴らしい選手たちなしにリベルタドーレスを制することはできない。今後のテーマはサントスが南米サッカー界のトップに立ち続けること。そして可能なら、世界のトップに立ちたい。

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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