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W杯を目指して再スタートを切ったアルゼンチン代表

5年間にわたる間違いだらけの軌道を修正

アルゼンチンはW杯予選初戦でチリに快勝。イグアイン(左)のハットトリックとメッシ(右)のゴールで好スタートを切ったかに思われたが……
アルゼンチンはW杯予選初戦でチリに快勝。イグアイン(左)のハットトリックとメッシ(右)のゴールで好スタートを切ったかに思われたが……【写真:アフロ】

 過去の戦績や両国の歴史から考えれば、ブエノスアイレスで行われたワールドカップ(W杯)・ブラジル大会南米予選の初戦でアルゼンチンがチリを4−1で下したのは驚くことではなかっただろう。だが、両代表が置かれた現状、そしてアルゼンチンが抱えていたいくつかのポジションにおける不安要素を考慮すると、戦前の予想はもっと均衡した試合になると思われていた。


 ブエノスアイレスを訪れたチリ代表には恐るべき3つの要素があった。1つは、昨年のW杯で好成績を残したマルセロ・ビエルサ前監督の素晴らしいチーム作りによって築かれたベースを持つこと。2つ目は、多くの代表選手がヨーロッパのビッグクラブでプレーするほどに成長したこと。そして3つ目は、1カ月前の親善試合で世界王者スペイン相手にハーフタイムの時点で2−0とリードする試合を見せたことである。


 対照的にアルゼンチンは、ホセ・ペケルマンが2006年W杯・ドイツ大会後に監督を辞任して以降、5年間にわたって続いてきた間違いだらけの軌道を最近になって修正したばかりだ。アルゼンチンサッカー協会(AFA)はこの5年間でアルフィオ・バシーレ、ディエゴ・マラドーナ、セルヒオ・バティスタ、そして現監督のアレハンドロ・サベーラと、4人の監督を雇ってきた。このような不安定な状況で長期的なプロジェクトを考えることは不可能である。

メッシをどのように生かすのか

 自国開催のコパ・アメリカ(南米選手権)で犯したベスト8敗退という失態の後に代表監督を任されたサベーラは、前任者たちが見いだせなかったリオネル・メッシを生かす戦術システムを模索すべく、試行錯誤を重ねてきた。


 雨中のエスタディオ・モヌメンタルで行われたチリ戦を見た限り、サベーラはメッシが創造性を発揮できるよう、自由にプレーさせる方針を固めつつあるように見えた。まだ活用すべきスペースを生かし切れていないものの、ハットトリックを達成したゴンサロ・イグアイン、アンヘル・ディマリアとのコンビネーションは悪くなかった。


 サベーラの頭には3−5−2と4−4−2のシステムが描かれている。それはつまり、ボランチとFWの間でプレーする“レジスタ”、フアン・ロマン・リケルメやハビエル・パストーレのような選手は重視せず、常に2人のFWと2人のサイドアタッカーを起用する方針を意味する。チリ戦ではホセ・ソサが右、ディ・マリアが左サイドで起用されたが、今後はハビエル・パストーレ、エドゥアルド・サルビオ、ロドリゴ・パラシオといった選手もこのポジションでプレーすることになりそうだ。

 前線では今後、けがでチリ戦を欠場したセルヒオ・アグエロに加え、エセキエル・ラベッシ、ディエゴ・ミリートらがチャンスを得るだろう。


 チリ戦の攻撃陣は大きなポテンシャルを感じさせた。成熟したメッシはもはや代表のシャツを着ることを不快に感じなくなった。国民は彼をサポートしているし、ハビエル・マスチェラーノからキャプテンマークを引き継いだこともプラスに働いている。メッシがピッチ外の問題に悩まされることなく、プレーに集中できる環境を保つのはアルゼンチンにとって非常に重要なことだ。

セルヒオ・レビンスキー/Sergio Levinsky
セルヒオ・レビンスキー/Sergio Levinsky

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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