石川遼、“最優先事項”のドライバーに重点を置いた一戦

不調の要因はトレーニングで得た筋肉

キヤノンオープンで5位の石川遼。勝敗よりもドライバーの出来を重視した試合となった 【写真は共同】

 「キヤノンオープン」(10月6日〜9日、戸塚CC)の最終日を迎えた石川遼の心境は「結果として勝てればいい」という程度のものだったに違いない。事実、ホールアウト後の取材に、「勝負にこだわるつもりはなかったんですけどね、無意識のうちに、そういうのを気にする分、負けたときの悔しさはありました」と石川は振り返った。石川にとって、目下の最優先の懸案事項は勝敗の行方よりもドライバーの精度だ。

 石川は左肩の違和感で9月の「トーシントーナメント」を欠場したが、その前は「全米プロ選手権」直後の「関西オープン」も欠場している。その間にかなりハードなトレーニングをこなしていたと証言するのは、高校1年のときから石川のトレーニング指導に当たっている仲田健氏だ。
「これまでのトレーニングの積み重ねもありますが、身長の伸びが止まって、その分筋肉が付きやすくなっているのです」と仲田氏。トレーニングをやればやるほど筋肉が付き、それが過剰になると動きが鈍くなる恐れもあり、仲田氏は、瞬発力と筋力アップを両立させるトレーニングメニューで石川を指導している。その結果、ヘッドスピードが速くなり過ぎて、体の回転が追いつかない、あるいはタイミングが合わない、という現象が起き、それがこのところのドライバーの不調になっていた。
 
 対策は、もちろんヘッドスピードを落とすのではなく、体の回転をスピードに同調させることであり、それが可能になれば、石川が目指す「350ヤードを真っすぐに」へ限りなく近づくはず。父の勝美氏によれば、「ダウンスイングの速度はだいぶ速くなっています。あとは、フォローもスピードを出すようにしたい」とのことだ。

日本オープンも「ドライバーの精度を上げる場に」

 実は、体力アップでドライバーショットが曲がるという現象は、プロ入り2年目の2009年シーズン初めに経験済み。6月1週目の「日本ゴルフツアー選手権」で50位と低迷し、続く「日本プロ選手権」で予選落ちしたころ、勝美氏は「直すのに1年かかる」と長期戦を覚悟する言葉を漏らしていたものだ。しかし、6月末に開催された「ミズノオープン」では最終日に2発連続OBを打つなどの波乱もあったものの、見事に逃げ切り優勝を飾り、最年少賞金王の足掛かりにした。
 そんな経緯もあって、最終日を首位で迎えた「キヤノンオープン」にも期待がかかっていたのだが、「流れがまったく来なかったし、自分でも引き寄せることもできなかった」と5位タイに終わった。

 今週は国内メジャーの「日本オープン」。「どんなコースかほとんど知りませんが、できる限りドライバーで打っていって、自分のドライバーの精度を上げる場にしたい」と石川。「キヤノンオープン」の最終日を「振り返ってみればドライバーの出来はすごく良かった」と総括した石川が、名門・鷹之台CCをどう攻めるのか、注目したい。

<了>
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著者プロフィール

長らく週刊ゴルフダイジェストでトーナメント担当として世界4メジャーを始め国内外の男子ツアーを取材。現在はフリーのゴルフジャーナリストとして、主に週刊誌、日刊誌、季刊誌になどにコラムを執筆している。

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