いよいよ2011−12シーズン開幕!=bjリーグ 「リスタート」のシーズン、それぞれの新たな船出に注目 

柴田愛子

注目の選手たちが大集合、彼らがbjリーグを盛り上げる 【Photo:北村大樹/アフロスポーツ】

 いよいよbjリーグ2011−12シーズンが10月8日(土)に開幕する。今季は岩手ビッグブルズ、信州ブレイブウォリアーズ、千葉ジェッツ、横浜ビー・コルセアーズの4チームを加えた計19チームが、bjリーグの頂点を目指し戦う。今季は東日本大震災によって活動を休止していた埼玉ブロンコス、仙台89ERSがリーグに復帰(東京アパッチは活動休止)。昨季途中で涙をのんだ悔しさを、新シーズンにぶつける。

 また、仙台の浜口炎(現・京都ハンナリーズヘッドコーチ(以下HC))、新潟アルビレックスBBの廣瀬昌也(現・TGI D−RISEアドバイザリーコーチ)、浜松・東三河フェニックスの中村和雄(現・秋田ノーザンハピネッツHC)の各HCが、長年率いたチームを昨シーズンで退任するなど、今季のbjリーグは「リスタート」がキーワードとなる。チーム、HC、選手の新たな船出に焦点を当てながら、注目チームを紹介しよう。

イースタンには新規4チームが参戦

 今季のイースタン・カンファレンスには新規4チームが参戦。岩手は昨年、新人でオールスターに出場した2年目の澤口誠(前・秋田)以外は、日本人選手、外国籍選手ともにbjリーグでのプレー実績こそないが、経験豊富な選手がそろう。新チームをまとめるブライキディス・ブラシオスHCの手腕に期待がかかる。

 信州はプレシーズンゲームでは敗れたものの、浜松、富山グラウジーズに対し、きん差の敗戦。既存チーム相手に互角の試合をしており、今後の成長が楽しみなチームだ。

 千葉はジョージ・リーチ(前・埼玉、新潟にレンタル移籍)や東京に所属していた板倉令奈、中村友也、田中健介、元大分ヒートデビルズの佐藤博紀などbjリーグでプレー経験のある選手を獲得。プレシーズンゲームでは2000人を超える観客を集めるなど、地元の期待も高い。

 横浜にはbjリーグ、JBLでプレー経験のある日本人選手が多数在籍し、個人能力の高さは証明済み。個性豊かなメンバーだけにこれからどんなチームに仕上がってくるのか注目したい。未知数の新規チームがイースタンに集中していることもあり、シーズン序盤は互いに探り合いの戦いとなるだろう。

王者・浜松、指揮官交代の影響は!?

 注目は2連覇を成し遂げた王者・浜松だ。主力だった外国籍選手、日本人選手ともに残留し、チーム力はイースタンで頭一つ抜きん出ている。昨季のシーズンMVPのジェフリー・パーマー、ベスト5を受賞したウェイン・アーノルドは、今年もチームをけん引する存在となるだろう。また日本人選手の層が厚い浜松において、新加入した仲西翔自(前・島根スサノオマジック)の高い身体能力を生かしたプレーにも期待がかかる。昨季とほぼ変わらぬメンバーで新シーズンに臨む浜松だが、大きな変化は指揮官が中村氏から河合竜児新HCへとバトンタッチされたことだ。JBLのオーエスジーフェニックス東三河時代から含めると13年間チームを率いた中村HCの退任が、どこまで影響するだろうか。

 河合新HCは中村氏のもとアシスタントコーチとしてチームを支え、中村イズムを引き継いではいるものの、中村氏のようなカリスマ性はまだない。中村氏の場合、いくら個人能力が高くても、自らのチームビジョンに合わない選手は即契約解除するなど、その姿勢は徹底しており、外国籍選手からも一目置かれる存在だった。中村HCの下で培われたチーム力で、今までイースタンを独走してきた浜松。HCの交代という大きな変革を迎え、どんなチームへと生まれ変わるのか。王者の新たな船出に注目だ。

東北勢の躍進に期待

 イースタン・カンファレンスで台風の目となりそうなのが、中村HCの新天地となる秋田ノーザンハピネッツだ。昨季はイースタン・カンファレンスで7チーム中6位と、1年目の厳しさを味わった。2年目は上位争いに加わるチームとなるべく、名将中村HCを迎え躍進を狙う。注目は中村HCと浜松時代ともに戦ったマイケル・ガーデナーの加入。「わがままで手を焼いた」と苦労した昔を振り返るも、「秋田に来てチームのスピードが遅いと感じた。だからマイケルをとろうと思った」と中村HCの寄せる信頼は厚い。

 また新加入のケイシー・クロフォードは高いシュート力をもち、ミドルレンジもアウトサイドも得意とする。「あんなにシュートが入るとは思わなかった。控えでとったつもりが当たった」と中村HCにとって開幕前にうれしい誤算もあったようだ。経験豊富な庄司和広、長谷川誠に加え、水町亮介、菊地勇樹、信平優希らの若手も、昨シーズンは試合数をこなし経験を積むことで力を伸ばしてきた。今季は新生秋田がイースタン・カンファレンスを大いにかき回してくれそうだ。

 そしてbjリーグに戻ってきた仙台の雄姿も見逃せない。東日本大震災で被災地となった仙台は、プレーオフを目前にしながら活動を休止。イースタン・カンファレンス2位につけ、「今年は優勝以外考えられない」(浜口元HC)と調子の良かった仙台だけに、その悔しさは計り知れない。一時はチーム解散の危機に瀕したが、存続を望む声に支えられ今季の参戦が決定した。選手に提示された契約内容は厳しいものだったに違いない。しかし昨季所属した選手の多くは残留を希望し「3月11日で止まったシーズンをしっかり終わらせたい」という強い思いで再スタートを切る。開幕戦は同じく東日本大震災で被災した岩手との対戦。バスケを通して笑顔と勇気を届けるべく、あの日に止まったシーズンが再び動き始める。

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