シャルケの内田に何が起こっていたのか=シーズン序盤のつまずき、さらなる進化への一歩
指揮官が衝撃を受けたスピードとキレ
今季はベンチに座ることが多い内田だが、それでもポジティブな状態で過ごしているようだ 【Bongarts/Getty Images】
シーズン序盤、何が起こっていたのか? あらためて内田が置かれていた状況を整理したい。
予兆は昨シーズン末からあった。リーグ戦最終節を終えた後に行われたDFBカップ決勝、内田はベンチスタートとなった。リーグ戦では第8節以降ほぼすべてに先発出場し、チャンピオンズリーグ(CL)でも活躍を見せていただけに、意外な指揮官の判断のようにも思えた。
当時、内田は苦笑いしながら語っている。
「(シーズン終盤に就任したラングニック)監督は初めておれを見た時、衝撃を受けたんだって。でも、その衝撃が今はなくなっていて、『どうしたんだ? 疲れているのか?』って、すごく心配されたんだよね」
ラングニックが衝撃を受けたのは、内田のスピードと攻撃力だったという。しかし、フィジカル・コンディションを要求されるスピードとキレが、蓄積された疲労とともに低下していた。そのため、内田はメンバーから外れることになったのだ。この試合では、格下のデュイスブルクが相手だったこともあり、大量リードを奪った81分に投入され、優勝の瞬間をピッチで味わうことができるよう、指揮官の配慮を受けた。
さらに、シーズンオフは指揮官からの指令により、ほかの選手よりもおよそ1週間長く与えられたという。
「ドクターが『休みを長くしてくれって監督に言おうか?』って言うから、『さぼっていると思われたくないからいい』って言ったんだけど。逆に監督から『代表もやっているから休みを長くやる』って言われちゃった」
昨シーズンに得た自信と周囲からの評価
「もうさー、のんびりやらせてくださいさいよ。この前、予定表を見たけれど、まだまだ試合はたくさんあるんだから」
内田は本音と取れるような取れないような、のんびりとしたコメントを毎試合のように出している。
全く試合から遠ざかっている選手にしてみれば、何ともうらやましい余裕のコメントだが、その背景には昨シーズンに得た自信と周囲からの評価がある。例えば、内田が出場せずに敗れた第5節のボルフスブルク戦。終了するやいなや、内田が右サイドでコンビを組むMFファルファンに駆け寄り、慰めるかのように話し込んでいる姿が見られた。些細(ささい)なことだが、チーム内での内田への信頼は昨季と変わっていないのだと感じさせられた。
プロ入り以降、内田が試合から離れた経験と言えば、昨年のワールドカップとシャルケ入団直後の昨シーズン序盤、そして現在くらいなもの。今は過去2回に比べれば圧倒的にポジティブな状態で過ごしているようだ。
「試合に出ても出なくても、今はいいかなって。久々に試合に出たとしても、去年からそこまで大きくメンバーが変わったわけでもないし、毎日の練習をしっかりやっているから違和感もない。別にリハビリをやっているわけではないから」