ジョコビッチ「生涯最高の一撃だった」=コメントで振り返る全米オープンテニス・男子編
今季絶好調のジョコビッチをフェデラーもナダルも止めることができなかった 【Getty Images】
分けても最大の焦点は、今シーズンわずか2敗しか喫していないノバック・ジョコビッチ(セルビア)を、誰が止めるのか……であった。
準決勝で対戦したロジャー・フェデラー(スイス)は、ジョコビッチから2セットを奪い、この命題達成までわずか1ポイントのところまで迫った唯一の選手である。だが、ここでジョコビッチが放った、目の覚める様なフォアのリターンウィナーが、すべてを180度反転させてしまう。
絶体絶命の危機を脱したジョコビッチはフェデラーを下し、そしてラファエル・ナダル(スペイン)との1位対2位対決へとコマを進めたのだった。
準決勝後、フェデラーはうんざり「勘弁してくれよ」
ナダルを相手に強さを見せつけ、全米初優勝を飾ったジョコビッチ 【Getty Images】
相手のマッチポイントで放った、起死回生のリターンウィナーについて。
「自信だって? 冗談で言ってるのかい? 勘弁してくれよ」フェデラー
例のジョコビッチのウィナーについて、「あのようなショットが打てるのは、自信があるからだろうか?」と聞かれ、うんざりしたような表情で応じるフェデラー。「ジュニアの頃から、追い詰められると開き直ったように打ち始める選手は居た。結局は、どういう風に育ってきたかの問題だろう」というのが、フェデラーの分析。つまりは、一本のショットも一朝一夕で生まれるものではないというのが、彼の理論だ。
「明日の試合の戦術? サーブ&ボレーでもやろうかな?(笑)」ナダル
5連敗中のジョコビッチとの決勝対決を控えた、会見でのこと。ジョコビッチに勝つために、どんな戦術を選ぶかと聞かれたナダルは、冗談めかしてこう言うと、表情を引き締め「僕がやるべきことは分かっている。自分のテニスを貫くこと。ただし、とても高いレベルでね」と続けた。
「負けた言い訳を探す場じゃない」と敗戦のナダル
「ここは、負けた言い訳を探す場じゃない(笑)。試合について語ろうよ」ナダル
試合後の会見の冒頭で、「試合終盤は疲れていたか?」「相手がメディカルタイムアウトを取ったことで、リズムを失ったのでは?」など立てつづけに敗因を求める質問を受けたナダルは、哀切を帯びた笑顔を浮かべてそれらの問いをかわし、自ら試合の内容につき話し始めた。
「昨晩は何を食べたかって? その問いに対する答えは、シンプルだ。僕は昨晩、一切グルテンを取らなかった。そして今晩は、思いっきりグルテンを食べるよ! それにアルコールもね!」ジョコビッチ
以前は試合途中の棄権が多いなど、体力面に不安を抱えていたジョコビッチ。それが今シーズンでは、無尽蔵のスタミナと集中力を誇る選手へと生まれ変わっていた。その裏には、検査の結果グルテンアレルギーであることが判明したため、グルテンを多く含む食品を断つという食事療法の実践があった。
「もちろん、それ(キャリアグランドスラム達成)が次の目標だよ。まだまだ僕自身、テニス界に証明すべきことが山ほどある。僕はもっとトロフィーが欲しいし、もっとグランドスラムで勝ちたいと思っている。テニスとは、朝起きて頑張って……というような日常習慣ではない。僕はこの競技が好きで、だからこそ前に進むことができる。そして勝利の喜びがあるからこそ、次のトロフィーのために戦えるんだ。
全仏オープンのタイトルを手に入れたら、どんなに素晴らしいことかと思う。もちろんすぐに達成できることではないだろうけれど、それが今の僕の渇望だ」ジョコビッチ
全豪、全英(ウィンブルドン)、全米と、四大大会のうち3つをすでに獲得し、残るは全仏のタイトルのみとなったジョコビッチ。コレクションに欠けた唯一の空間を埋めることが、現在の最大のモチベーションだと公言。
<了>
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ