イニエスタ「再び重要なゴールを決めてみたい」=FIFAクラブワールドカップ ジャパン 2011

イニエスタ(右)はクラブW杯での優勝が「世界最高のチームとしての地位を固めることになる」と語った 【Getty Images】

 12月8日から日本で開催されるFIFA(国際サッカー連盟)クラブワールドカップ(W杯)。バルセロナの中心選手として中盤に君臨するアンドレス・イニエスタは、自身3度目となるこの大会の出場に強い意欲を見せている。2008年のユーロ(欧州選手権)ではスペインの44年ぶりとなる優勝に大きく貢献、09年にはチャンピオンズリーグ(CL)やクラブW杯を含む6冠達成の立役者となり、10年のW杯ではファイナルで劇的な決勝ゴールを挙げて祖国を初優勝に導いた。スペイン代表とバルセロナで、これまで幾多のタイトル獲得を経験しているイニエスタ。そんな彼に、2年ぶりとなるクラブ世界一のチャレンジについて、その意気込みを語ってもらった。

「常にタイトルを取りたいという意欲に満ちている」

――今回のクラブW杯でバルセロナは欧州チャンピオンとして出場するわけだけど、どんなことを期待している?

 なかなかプレーできる大会ではないから、すごく楽しみにしているよ。近年、僕らは多くのタイトルを勝ち取り、多くの重要な試合をプレーしてきた。けれども、これは出場するのがとても難しい大会なんだと意識して臨まなければならない。今はまだリーガやCLが始まったばかりだから、チームは目の前の試合に集中している。数カ月後のクラブW杯に向けては、監督のペップ・グアルディオラが最高の状態で臨めるよう準備してくれるはずさ。

――あらゆるタイトルを取り尽くし、クラブW杯もつい最近(09年)優勝したばかり。そんなチームがモチベーションを高めるには、どうすれば良いのだろう?

 僕らは常にタイトルを取りたいという意欲に満ちていて、気を抜くことなど決してない。それはグアルディオラが常に良い状態で試合に臨めるよう、準備してくれるおかげだと思う。そうでなければ、これだけのタイトルを勝ち取るのは不可能だった。日本でクラブW杯を再び勝ち取ることができれば、これほど素晴らしいことはない。世界最高のチームとしての地位を固めることにもなるしね。

――タイトル獲得に加え、君たちはあらゆる記録を塗り替えてきた。多くの人々が言っているように、自分たちはサッカー史上最高のチームだと思う?

 僕らは自分たちのことを評価できる立場にはないと思う。それは批評する人たちの仕事であり、時間の経過とともに語られていくものだから。僕らは最大限の目標を達成すべく、プレーとトレーニングに専念しなければならない。

サントスは「素晴らしい選手たちとブラジルの伝統を持ったチーム」

――09年のクラブW杯では大本命として挑んだものの、エストゥディアンテスとの決勝では苦しい試合を強いられた。本命として戦う重圧は大きかったのか?

 それほどプレッシャーが大きかったとは思わない。いずれにせよ、クラブW杯に出てくるのは、どこも出場するにふさわしい実力を持っているチームだ。決勝でエストゥディアンテスの選手たちは、非常にバランスの良い陣形を組み、先制点を奪って良い守備をした。確かに僕らは、あと数秒で敗戦という状況まで追い込まれたけど、その原因は緊張やプレッシャーではなくピッチ上にあったと思う。

――なぜヨーロッパのクラブは、クラブW杯にCLと同等の価値を見いださないことが多いのだろうか?

 いや、それはもう過去の話だよ。その考え方は何年も前に変わったと思うね。各大陸のチャンピオンが集まって、正式なクラブ世界一を決める大会にFIFAが定めた今は、あらゆるクラブがクラブW杯で優勝したいと考えるようになった。以前はヨーロッパ王者と南米王者が対戦するだけの大会だったからね。

――これまで南米王者のクラブは、主力選手の売却によりチーム力が落ちた状態で大会を迎えることが多かったけど、今回のサントスはコパ・リベルタドーレスを制した際と同じメンバーがそろった、強力なチームとしてやってくる。

 確かに、そのようなことは実際に何度もあったけど、南米のクラブには主力選手の穴を埋められるだけの人材とチーム力がある。バルセロナはそのことを良く分かっているよ。何しろ「大本命」とみられていた06年大会の決勝で、ブラジルのインテルナシオナルに負けているからね。今回も同じだよ。サントスは素晴らしい選手たちとブラジルの伝統を持ったチーム。決勝で対戦することになれば、困難を強いられることは間違いない。

――では、決勝の相手がサントスではなかったとしたら?

 それもあり得る。昨年の大会では、インテルナシオナルが(アフリカ代表のマゼンベに)準決勝で敗れているからね。今やサプライズなんて存在しないんだ。

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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