真琴は大号泣で退団「あとは前に進むだけ」=アイスリボン

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アイスリボンを退団する真琴(手前)はさくらえみに対し、すべての思いをぶつける激しい試合となった 【前島康人】

 女子プロレス団体アイスリボンの後楽園ホール大会「不思議の国のアイス2011」が21日に開催され、786人の観衆を集めた。

6年間育ててくれたさくらえみと感情をぶつけ合う

 SMASHへの移籍を発表した真琴にとっては、この日がアイスリボンでのラストマッチ。入門当初から約6年間、師匠としてプロレスの基礎から育ててくれたさくらえみと対戦となった。
「思いがありすぎて……」(真琴)と対角線上に対峙したときから、号泣してしまった2人だったが、試合が始まるとその感情をぶつけるように、逆水平チョップやビンタの応酬となる。さくらの強烈な逆水平に真琴が立ち上がれなくなると、打ち返してこいとさくらが挑発すると、真琴もなんとかチョップを繰り出す。そしてサンセットフリップ、W・W・二―ドロップ、ネックハンキングバスターといつも以上に多彩な技を繰り出すが、さくらはすべて受け切り、SMASHでFUNAKIから伝授されたスピアーさえも、カウント2で返した。すると、さくらはバックドロップ、タイガードライバー、ラ・マヒストラルと大技を繰り出していき、最後はニャンニャンプレスで真琴を仕留め、師匠としての貫禄を見せた。

中学生のりほ(手前)を相手にしたTAJIRIだが、格の違いを見せつけた 【前島康人】

 試合後、大の字になっていた真琴に、次の試合で控えていたTAJIRIが近寄ると、対戦相手のりほも登場。ゴングを待たずにつっかっかる。しかし中学生のりほと、男子のトップレスラーでもあるTAJIRIの力の差は歴然で、りほの全力のエルボーにも、まったく顔色変えない。TAJIRIは早く試合を終わらせたいのか、すきを見せずに体固めで3カウントを取ろうとするが、りほも食い下がりカウント3つはたたかせない。簡単にはフォールを奪えないと見ると、TAJIRIは強烈なローキックをりほに食らわせてから、トケ・エスパルダで丸めこみ、完全に動けなくして3カウントを奪った。

 真琴の“引き抜き”に対して怒りを示し、全力でTAJIRIに挑んだりほだったが、「くやしいけど、自分は何もできなかった。でももっともっとプロレスを勉強します」と自分自身のレベルアップを誓う。そして、「TAJIRIさん、心からのお願いです。真琴さんを泣かしてもいいです。でも最後まで、夢をかなえるまでよろしくお願いします」と同期デビューの真琴の夢をかなえることをTAJIRIにお願いした。
 また真琴に勝利したさくらえみだったが「選手の夢をかなえられないアイスリボンの無気力さが悲しいです。もっと自分がしっかりしないと」と涙をにじませた。

退団に涙を流す真琴(左)に、TAJIRIは「こういうことが積み重なって、ガチガチになると何も思わなくなるんだよ」とアドバイス 【前島康人】

 一方のTAJIRIは、泣き崩れる真琴に「こういうことが積み重なって、ガチガチになると何も思わなくなる。そうすると強くなるんだよ。今はやっと芽が出たくらい。今は泣いてもいいけど、次だよ次」と辛口な意見。この言葉を聞き真琴は涙を振り払い「退路は断ったので、あとは前に進むだけ」と、一緒に戦ってきた仲間との別れを越えて、自分の夢である米国・WWEの舞台に立つために、前を向いて歩いていくことを誓った。

得意のブロックバスターで“絶対王者”をフォール

高校生・みなみ飛香(左)が“絶対王者”の藤本つかさを攻める 【前島康人】

 メーンイベントでは、ICE×60選手権試合として王者・藤本つかさに高校2年生・みなみ飛香が挑戦。みなみがブロックバスターホールドで藤本を破り、見事第12代王者を戴冠した。

『後楽園のメーン』という大舞台。真琴の退団で話題が独占されるところだったが、高2の夏休みをすべてプロレスにささげているみなみが輝いた。ここまで7度の防衛に成功し“絶対王者”になっていた藤本は、序盤からサッカーボールキック、ドロップキックとフットサルでならした蹴りで攻めると、逆エビ固めやフェースロックで挑戦者を締めあげる。しかしみなみもはりきりキックやカナディアンロッキーバスターなどで応戦。途中、藤本がビーナスシュート、延髄斬り、ツカドーラなどを繰り出し、フィニッシュに持ち込むが、みなみはすべてカウント2でよけきると、藤本のビーナスシュートを受け止めて1発目のブロックバスター。すかさずトップロープにかけ上り、ダイビングボディープレスを決め、ここは藤本に返されたが、すぐに2発目のブロックバスターホールドを決めると、これは返せずに新王者の誕生となった。

第12代王者となったみなみは、「自分が先頭に立っていく」とエース宣言! 【前島康人】

 試合後は「ベルトを取りました!」と笑顔を見せるみなみ。後楽園ホールという大舞台のメーンを任されたため「後楽園に来ている実感さえなかった。頭が真っ白」と緊張の中での戦いとなったが、「このベルトを腰に巻いたので、実感できると思います」と、目に見える勲章で自分が成し遂げたことを実感していくと語る。
 また「自分が先頭に立って、あっちへこっちへと発信していきたい。プロレス界だけじゃなくて、世界に羽ばたけという感じです」と、アイスリボンをもっと広く伝えていきたいと意気込んだ。

 一方、敗れた藤本は防衛記録が途絶えたことに悔しさをにじませたが、「チャンピオンじゃなくてもアイスリボンを引っ張っていきたい。ひかりさんが“絶対王者”になった時に挑戦したい」と、王者奪還は常に狙っていくと話す。また、「12月、メーンを狙います」と年末に予定されている後楽園大会でも、再びメーンに立つことを誓った。

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