亀田興毅インタビュー「肉食系で5階級制覇や!」
8月31日に2度目のWBA世界バンタム級王座防衛に臨む亀田興毅(中)にインタビュー 【写真は共同】
WBA世界バンタム級で2度目の防衛戦に臨む亀田興毅が、試合を約3週間後に控えた12日、都内で記者陣のインタビューに応じ、現在の状態、意気込みなどを語った。
以下、亀田興毅のインタビューでのコメント。
厳しい減量、今まで一番辛かったのはランダエタ戦
今、試合の3週間前だけど、普段もこれぐらいから減量を始める。最初は気持ちだけというか、3週間前ぐらいの時点では食べ物を変えたり、食べる量を少し減らすぐらい。2週間前から本格的に減量に入って、最後の1週間で一気に落とす感じ。自分の場合、試合1週間前の時点でリミットから4kgオーバーが目安。バンタム級のリミットが53.5kgやから、1週間前の時点で57.5kgに持っていけば、自分の場合は絶対に体重は落とせる。
――計量が終わった後、試合までに食べるものは?
食べる物はいつも決まってる。絶食状態が続いて胃が弱ってるから、最初はお粥よりもっとドロッとした「おもゆ」からちょっとずつ。水分をとって休憩してから、パスタとかを食べて、大分回復してきた夜は豚しゃぶ。豚はビタミンがあって疲労回復にいいからな。試合当日の朝は、バターと蜜をたっぷり塗ったホットケーキ。試合前はこれで糖分をとって、一気に頭と身体を起こす。あとは、試合までにとるのは水分ぐらい。昔は、計量が終わって翌日の試合までに一気に体重を7kg戻したこともあったけど、今は4kgにしてる。それ以上増やしたら身体が重く感じるし、顔がむくんで相手のパンチでカットしやすくなるからな。
もちろん、寿司や焼き肉だったりを食べたいけど、それは勝ってから。試合終わった後は、好きなもんを食べまくるな。でも、やり過ぎたら次の試合が大変になるから、そこがいつも自分との戦い。「食べたらあかん」と「食べろ!」って言う、二人の自分が出てくるからな(笑)。
――今まで、一番減量がきつかった時は?
19歳で初めて世界チャンピオンになった時(2006年8月2日、対ファン・ランダエタ)かな。あの時はライトフライ級やから、リミットは48.9kg。俺は小学校6年生の時に体重48kgやったから、小6の頃の身体に戻せってことや。当時は、計画的にカロリーを計算してちょっとずつ落とし、リミットまで持って行った。
でも、それよりは一気に体重を落として前日の計量を通過して、試合当日にリバウンドさせて体重を戻す方が、リングで強く戦える。だから、ランダエタと戦った防衛戦(2006年12月20日)の時はそのやり方に変えたけど、明日計量っていう状況なのに、どうしても最後の1kgが落ちなかった。
最終的には、岩盤浴を5時間ぐらいやって、残り200gのところまでは落とした。あとは、ひたすらガムを噛んで唾液を出して、計量前日の夜の時点でリミットまであと150g。そこでとりあえず寝たけど、胃が背中にくっつきそうで、寝ようにもなかなか寝られない。それでも当日はなんとか落として、リミットジャストで計量に通った。あの時は、死にそうやった……。それで、「もう、この階級では絶対にできない」と思って、試合後にベルトを返上してフライ級に階級を上げた。それでもフライ級も体重がきつくなってきて、今はバンタムでやっている。
なんで体重がきつくなってくるかと言われると、毎日練習をやっていたら筋肉が付いて、自然に身体が大きくなってくるから。でも、強くなるためにはそうするしかない。ずっと同じ階級で防衛しろと言われたら、身体を大きくできないから、それまでと同じ練習をやっていくしかない。それだと、戦い方を覚えて維持はできても、強くはなれへんと俺は思ってる。俺は、複数階級制覇を目指して、もっと身体を作っていって、強くなりたい。もちろん、階級を上げていけば強いチャンピオンがどんどん出てくるけど、その分鍛えて自分が強くなっていけばいい。俺はそういう考え方でやってきて、3階級を制覇できた。小さい頃からの夢「5階級制覇」をやるために、それまでは全力で突っ走っていく。
「草食系」はあかん! 目指すのは「肉食系」
最近は『肉』や。肉を食えば闘争心が沸く。絶対に食生活でそのへんは変わるから。肉が好きって奴はやっぱりパワーがある。やっぱ男やから肉を食っていかな。だから、甘いものは好きやけど、なるべく控えてる。納豆も、前は一日3、4パックとか食べてたけど、これも控えてる(笑)。納豆は女性ホルモンを活発にするらしいねん。俺は男性ホルモン欲しいから(笑)。今よく言われてる「草食系」にはなったらあかん! 野獣のような「肉食系」になるため、今は肉ばっかり食べてるよ。
もちろん、減量の関係でこれまで栄養の勉強もしてきて、さらに26戦のキャリアを積んで考えた上で、今は原点の「肉食」になった。やっぱ、ボクシングっていうのは「どつき合い」のスポーツ。それぐらいの気持ちでいかないと、リングの上で相手にかかっていけない。肉を食って、もっともっと進化するつもり。恋愛は肉食系か? あ〜……俺、肉食系ちゃうな〜。俺、それ全然あかんねん(笑)。「肉食系にならな」と思ってるけど、これからやな(笑)。
――食事以外に自分の闘志の源になっているものは?
俺には一人好きなボクサーがいる。それは、マニー・パッキャオ(フィリピン)。パッキャオは6階級制覇して、ボクシング界で不可能と言われたことを全部可能にしてきたボクサーで、1試合で20億円ぐらい稼ぐスーパースター。例えば、アメリカ人が凄いことをやっても、「アメリカ人は身体の作りが違うんかな……」とか思うけど、フィリピンは同じアジアやし、「自分も、もっとできるんちゃうか?」と思わせてくれる。同じアジアのボクサーとして、「もっと頑張らな」と刺激を受ける。俺なんかまだまだ大したことないけど、もっともっと練習して27、28歳になってピークを迎えた時に、積み重ねたものが仕上がってきてもっと強くなっていると思うし、そこで自分の集大成を見せたい。そして、引退は30歳と決めている。