新たな変化に賭けたアルゼンチン
W杯予選敗退の危険性を憂う厳しい現状
さらに悪いことに、アルゼンチンは10月に始まるW杯予選の初戦で強豪のチリをホームに迎える。開催国のブラジルを除く9チームに4.5枠の出場権が与えられる予選で、敗退の危険性を憂うことなど過去ではあり得ないことだった。だが、今は状況が違う。アルゼンチンの予選突破を保証するものなど何もない。
先月のコパ・アメリカでアルゼンチンは、W杯予選のライバルのうちの3カ国(ボリビア、コロンビア、ウルグアイ)とホームで対戦し、1試合も勝つことができなかった。ライバルたちがコパ・アメリカ以上にモチベーションを高めてくるだろうW杯予選で、この状況が劇的に変わることなどあるだろうか? やるべきことは山積みなのだ。
サベーラには十分な時間が与えられるのか
U−17代表を率いたオスカル・ガッレ、フリオ・オラルティコエチェアも、バティスタとアシスタントコーチのホセ・ルイス・ブラウンとともに解任されることになった。彼らの前にはマラドーナとアシスタントコーチのエクトル・エンリケ、そして前コーチ陣との不仲によりわずか1年半で任期を終えたオスカル・ルジェリも協会を去っており、これでメキシコW杯優勝メンバーの“86年世代”に与えられたチャンスは終わりを告げることになった。
恐らくサベーラのアシスタントにはガブリエル・バティストゥータが加わるだろう。新監督が立ち向かうべき当面の課題は、メッシとほかの選手たちとの相互関係を確立すること、アルゼンチンが世界に誇る偉大なストライカーたちの能力を引き出すこと、そして最悪の状態にある最終ラインを立て直すことだ。
とはいえ、最大の疑問は果たしてサベーラに十分な時間が与えられるのかという点だ。彼が良い結果を出せなかった時、再びすべてが白紙に戻されてしまうのかどうか。その答えは、時間の経過とともに明らかになるはずだ。
<了>
(翻訳:工藤拓)