好投手がそろった夏の甲子園を勝ち抜くのは!?=第93回高校野球選手権大会見どころ
優勝候補の九州国際大付を支える高城俊人(左)と三好匠のバッテリー 【写真は共同】
3日に行われた抽選会で、3回戦までの組み合わせが決まった。今大会の初出場校は9校で、いずれも春夏通じて初めての甲子園。また地方大会決勝の延長戦が8試合、1点差ゲームが20試合あったのも、激闘を物語っている。さらに、昨年春夏連覇を果たした興南や、今春の選抜覇者の東海大相模が地方大会で姿を消し、ずぬけた戦力を持つチームが見当たらないのが今大会の特徴だ。
選抜準優勝の九州国際大付は初戦から強敵・関西と対戦
三好匠、高城俊人(3年)のバッテリーが注目される九州国際大付は、夏の課題としてきた2番投手が台頭。左腕の大江遥(2年)は制球力が自慢で、福岡大会では4試合に登板し無失点と抜群の安定感を誇った。準決勝の大牟田戦でエース・三好をリリーフに回せたのは、この大江の存在があったからと言える。打線は三好が打率5割、3本塁打と好調だった半面、4番の高城は打率2割6分1厘と苦しんだ。決勝の2打点が復調の兆しとなってくるか。
関西はエースナンバーをつかんだ水原浩登(3年)と、岡山大会決勝でサヨナラ打を放った堅田裕太(3年)のダブルエース。選抜以降、捕手を関貴典(2年)に代え、ノーシードから6試合を戦い抜いて頂点を勝ち取った。昨春は興南、今春は東海大相模といずれも優勝校に初戦で敗れており、今度こそ初戦を突破して上位を狙う。
評価が高い日大三・吉永、聖光学院・歳内、東洋大姫路・原
日本文理は1年夏に準優勝を経験した湯本翔太(3年)が3番打者としてチームを引っ張る。チーム打率は3割4分8厘、長打は23本と打線は強力で、田村勇磨と波多野陽介という2年生投手陣を支える。新潟大会では準々決勝以降の3試合が1点差と厳しい試合を勝ち抜いてきた自信で、夏の頂を目指したい。
今年の高校生で注目と言われた投手も軒並み顔をそろえた。
昨夏ベスト8・聖光学院(福島)の歳内宏明(3年)がその筆頭格。福島大会では6試合34イニング余りを投げて、奪った三振が60。決勝の須賀川戦では17個の三振で相手を寄せ付けなかった。昨秋の東北大会で、頼りすぎて失敗したスプリットを効果的に使えるかが甲子園でのポイント。
東洋大姫路(兵庫)の原樹理(3年)は、兵庫大会決勝で初めてとなる引き分け再試合を投げ抜いて甲子園を勝ち取った。藤田明彦監督は、加古川北との最初の試合で9回に同点弾を浴びたことが本人の転換期ととらえており、「再試合のフォームが理想に近い」と話していた。再試合のように力まず投げる術をマスターできれば、更に投手としての幅が広がるだろう。
「甲子園の戦い方を知っているチーム」が上位に進出か
また、近年重要視される走塁面。盗塁が最も多かったのは初出場の高崎健康福祉大高崎(群馬)で28、次いで海星(長崎)の25だった。記録には残りにくいが、次の塁を狙う姿勢、一つ先の塁を陥れる姿勢にも注目したい。
ディフェンス面では、失点が少ないのは聖光学院と柳井学園(山口)で2。無失策で勝ち上がったのが、光星学院(青森)と明徳義塾(高知)の2チームだった。打力が注目される光星学院だが、昨秋の大会でも1試合の平均失策が0.42と少なく、守備にも絶対の自信を持っている表れといえるだろう。
さて、大会の行方だが、昨年の興南のように、誰もが一目置く柱になるチームは見当たらない。また、投打にわたって投手がチームをけん引するチームが多いのも特徴だ。これらのチームは投手に頼り過ぎる危険な要素もはらんでいる。
そんなことも総合的に見ながら、甲子園の戦い方を知っているチームが上位に顔を出すと予想する。先に名を挙げた関西と九州国際大付、日本文理と日大三は、初戦を突破すれば波に乗っていけそう。また2回戦からの登場と比較的日程に恵まれた光星学院や春夏優勝5回を誇る横浜(神奈川)も初戦の戦い方次第で上位に顔を出してくるだろう。一方で1回戦から登場するチームは、疲労の取り方が重要になってくる。
<了>
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