1週間で13キロ減! 1日で9キロ増!=ボクシング減量の裏側

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空腹のライオンのごとくわき上がる闘争心

試合の前に過酷な減量と戦わなければならないボクサー 【(c)NAOKI FUKUDA】

 ボクシングが体重別に細分化されているウェート制の格闘技であることは広く知られている。よって「ボクシング=減量」というイメージを持っている人も少なくないはずだ。事実、ボクサーの多くは17階級のリミット体重に合わせて日々の調整を続けている。しかし、計量から試合までの約24時間でリバウンド(反動による増量)があることは意外に知られていないのではないだろうか。

 ボクサーが減量をするのは階級リミットや契約体重に合わせることが主目的だが、別の狙いもある。体重を落とすことで必然的に闘争心が湧いてくるというのだ。昭和30年代から40年代にかけてフライ級とバンタム級を制したファイティング原田氏は、こう話す。
「獲物を狙うライオンと同じですよ。腹いっぱいのライオンは寝てばかりいるけれど、空腹のライオンは目をぎらつかせて獲物に飛びかかっていくでしょう。人間も動物の一種ですからね、あれと同じですよ」
 フライ級時代に20キロ近い過酷な減量を経験した原田氏の話には説得力がある。

 バンタム級とフェザー級を制した長谷川穂積(真正)は、減量にはさらにもうひとつの効果があると説明する。
「ルールに合わせる、闘争心をかき立てるということだけでなく、減量は試合前の恐怖感を忘れさせてくれるんです。減量期に入ったら一日一回の食事はボクサーにとって一大イベントですからね。その楽しみが試合に向けた恐怖感を軽減してくれるんですよ」
 ちなみに長谷川もバンタム級時代には12キロ以上の減量を強いられた。

前日計量後の1日で大幅に増量も

 ところで、計量は試合前日に行われることがルールで定められているが、これは選手の健康面に配慮してのことだ。90年代前半、それまでの試合当日計量に代わり採用された前日計量は、いまでは世界戦のみならず世界中のほとんどの試合で適用されている。少しでも選手の体力回復をとの狙いから実施された前日計量だが、実際は都合よく解釈される場合も少なくない。体力のみならず体重の回復にも猶予ができたと考え、過度な減量をしたうえで計量後の1日で大幅に増量するケースが後を絶たないのだ。

 たとえば、昨年来日して長谷川穂積と拳を交えたフェルナンド・モンティエル(メキシコ)は、計量後の約24時間で7キロ超のリバウンドがあったと伝えられる。通常4〜5キロの増量に抑える長谷川とは実際のリング上では3キロ近い体重差があった計算になる。ただし増量はパワー増という効果が望める反面、スピード減やスタミナ減も考えられるため諸刃の剣といえるだろう。

 ちなみに90年代、後楽園ホールでの試合に出場した韓国の重量級選手は、試合直前の1週間で13キロ減量し、計量後の1日で9キロのリバウンドがあったと報告されている。減量が過酷だったことは想像に難くないが、それにしても1日で9キロ分の飲食とは驚きだ。

<次回に続く>

Written by ボクシングライター原功

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