石川遼と池田勇太、明暗を分けたショットの精度=データで振り返る全英オープン

 リンクスが舞台となる全英オープンは、風との格闘である。とりわけ今回のドーバー海峡に面したロイヤル・セントジョージズGCは、全英オープン開催コースの中でも風が目まぐるしく変化することで知られ、複雑な凹凸のある硬いコースとあいまって、単純なコースマネジメントを許さない。

 3年連続3回目の出場となった石川遼は、初日に4オーバーと出遅れると、2日目はさらに大きくスコアを崩して通算14オーバー。147位タイと下位に沈み、4月のマスターズ、6月の全米オープンに続く海外メジャーの予選突破はならなかった。
 今回、石川はどのようなプレーをしたのか――通算イーブンパーで予選を見事通過した池田勇太と石川の、予選2日間を数字で比較してみよう。

<初日>ティーショットは池田を上回るも、パーオン率は半分以下

第2Rでバンカーからショットをする石川。グリーンをとらえきれず、難しいアプローチを強いられる場面が多く見られた。 【写真は共同】

 全英オープンの予選ラウンドの1日は長い。午前6時30分から午後4時11分まで延々と選手がスタートして行く。気温も風速も刻々と変わる。北からの冷たい風が吹いた初日、池田のスタート時間は午前8時42分。石川遼は9時20分。条件はほぼ同じだ。

 この日、パー3を除く14ホールでの池田のドライビングディスタンスは平均252ヤード。対する石川遼は平均278.5ヤード。石川の方がよりグリーンの近くに飛ばしていたことが分かる。さらに石川は14ホール中6ホールでフェアウェイキープに成功しているのに対して、池田は4ホールだけだ。
 ところが、パー3を含む全ホールでのパーオン率(パー5の2オンも含む)を見ると、池田が11ホールでパーオンしているのに対して、石川のパーオンはたった5ホールだけ。いかに石川のアイアンショットの精度が悪かったのかが分かる数字だ。風を読み切れなかったこともあるが、硬くて大きなアンジュレーションがあるグリーンを警戒して、ショットが緩んでいた結果でもある。

(1)ドライビングディスタンス (2)フェアウェイキープ (3)パーオン

石川遼(+4) (1)278.5Y (2)6H/14H (3)5H/18H
池田勇太(−1) (1)252Y (2)4H/14H (3)11H/18H

<2日目>ティーショットはさらに良くなるも、パーオン率は上がらず

 風が南からと逆になった2日目も、同じような傾向が見られた。午後1時43分にスタートした池田のドライビングディスタンスは前日より50ヤード近くも伸びて平均299.5ヤード。が、フェアウェイキープは5ホールと1つ増えただけだ。
 午後2時21分にスタートした石川のドライビングディスタンスは平均314.5ヤードでフェアウェイキープは9ホール。ティーショットは前日よりさらに良くなっていたことが数字からも分かる。しかし、パーオン率になると逆転して、石川の6ホールに対して、池田は11ホールと粘りを見せた。
 グリーンを狙うショットの精度が2人の明暗を分けた。

石川遼(+10) (1)314.5Y (2)9H/14H (3)6H/18H
池田勇太(+1) (1)299.5Y (2)5H/14H (3)11H/18H

<了>
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著者プロフィール

長らく週刊ゴルフダイジェストでトーナメント担当として世界4メジャーを始め国内外の男子ツアーを取材。現在はフリーのゴルフジャーナリストとして、主に週刊誌、日刊誌、季刊誌になどにコラムを執筆している。

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