“異色のクローザー”西武・牧田は成功するか!?=独自の投手哲学「打者をもてあそびたい」
緊張の中での初セーブ「足が震えていました」
プロ初セーブを挙げた西武・牧田(右)。左は中島 【写真は共同】
「足が震えていました。でも、いつも通りの打ち取り方でしたね」
ポーカーフェイスで冷静に振る舞った牧田は、先頭打者の高須洋介を2球でショートゴロに切って取る。続くガルシアは5球でサードフライ、代打の中村真人を2球でショートゴロに打ち取り、わずか9球でプロ入り初セーブを記録した。
最後の打者となった中村は、牧田との対戦をこう振り返っている。
「先発のときより球が走っていました。体感で速く感じましたね。ストレート2球で意表を突かれ、詰まらされました」
先頭打者の高須は、「2球しかなかったからよく分からない」と言う。正直な感想だろうが、これぞ牧田の真骨頂だ。自分のペースでテンポ良く投げ込み、少ない球数で打たせて取る。打者はリズムをつかめぬまま、アウトになっているのだ。
一般的なクローザーと違い、熟練の投球術で打ち取る
「プロの抑えは、球が速くて変化球が切れて、空振りを取るイメージ。自分の球威でどのくらいできるかと思っていました」
牧田の言うように、一般的なクローザーは球威のあるストレートと空振りを取れる変化球で打者をねじ伏せていく。ソフトバンクの馬原孝浩やオリックスの岸田護、ヤクルトの林昌勇が典型的なタイプだ。
一方、アンダースローの牧田はまるで対称的なスタイルを誇る。ストレートは130キロ台で、力で打ち取るピッチャーではない。球種はシンカー、カーブ、スライダー、シュート、チェンジアップと豊富だが、ウイニングショットと呼べるようなボールは見当たらない。それでも打者を打ち取ることができるのは、熟練の投球術を持つからだ。
楽天の中村は、守護神・牧田に嫌なイメージを植え付けられたと言う。
「印象はクローザー向きですね。牧田はクローザーで使った方が、力を発揮するボールを投げています。球種を絞らないと打てないので、考えて打席に入らないといけない。先発のときは終盤になるとスピードが落ちていたけど、クローザーではストレートも変化球も切れていました」