アーネストリー覚醒のGI勝利! 佐藤哲「本格化の第一歩」=宝塚記念

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佐藤哲三騎乗のアーネストリーが人気のブエナビスタ、4歳勢を寄せ付けず宝塚記念V 【スポーツナビ】

 JRAの上半期を締めくくるグランプリレース、第52回GI宝塚記念が26日、阪神競馬場2200メートル芝を舞台に争われ、佐藤哲三騎乗の6番人気アーネストリー(牡6=栗東・佐々木晶三厩舎、父グラスワンダー)が優勝。先行2番手追走から直線堂々の先頭に立ち、後続馬をまったく寄せ付けない完勝でGI初制覇を達成した。良馬場の勝ちタイム2分10秒1は、2002年にアスクコマンダーが記録したタイムを0秒8更新、また04年に今回と同じ佐藤哲&佐々木晶厩舎コンビで勝利したタップダンスシチーの宝塚記念レコード(2分11秒1)を1秒も更新する破格のレコードタイムだった。

 アーネストリーはこれでJRA通算20戦9勝。重賞は09年GIII中日新聞杯、10年GII金鯱賞、同GII札幌記念に続く4勝目。そして、99年に宝塚記念を制した父グラスワンダーに続く父子制覇となった。
 また、騎乗した佐藤哲、同馬を管理する佐々木晶調教師ともに、04年タップダンスシチー以来の宝塚記念2勝目。

 一方、1番人気に支持された岩田康誠騎乗のブエナビスタ(牝5=松田博厩舎)は、直線外から上がり最速の脚で追い込むも1馬身半差届かず、2年連続の2着。さらにハナ差の3着に安藤勝己騎乗の3番人気エイシンフラッシュ(牡4=藤原英厩舎)が入った。

「100%の状態だったら、絶対にGIを勝てる馬だと思っていた」

大観衆のファンへ向けて鞍上の佐藤哲は何度もガッツポーズを見せた 【スポーツナビ】

 ブエナビスタでも、“最強世代”の4歳馬でもない。夏のグランプリの主役になったのは、6歳牡馬のアーネストリー。ウイニングランで喜びを爆発させた仕事人・佐藤哲三は、スタンドを埋め尽くした5万9000人のファンへ向けて何度もガッツポーズをつくった。
 「今日は絶対に勝ちたいと思っていました」
 昨年は同レース3着。続く夏のGII札幌記念を制して、天皇賞・秋も3着と、確かにアーネストリーは中距離戦線トップの一角にいた。だが、元来の体質の弱さからその後放牧に出され戦線を離脱すると、2つ下の現4歳世代が瞬く間にトップへと上昇、今やブエナビスタと並ぶ日本競馬界の主役となっていた。
 5月のGII金鯱賞3着で約7カ月ぶりにターフに戻ってきたが、この日の宝塚記念オッズは、昨年の3番人気から3ランクダウンの6番人気――つまり伏兵の1頭という下馬評。

 しかし、陣営のアーネストリーに対する評価、自信は少しも揺るぎがなかった。佐々木晶調教師が語る。
 「この馬が100%の状態だったら、絶対にGIを勝てる馬だと思っていた。今日は本当に具合が良かったから、タップダンスシチーが勝ったジャパンカップ前と同じ心境でしたね。負けるわけがない、と。パドックで馬を見て、間違いないと思いました」

佐藤哲完ぺき騎乗でブエナビスタ&4歳馬を完封

抜群のスピードを発揮、内容としては文句なしの快勝だ 【スポーツナビ】

 素質はあるがシャレにならないくらい体質の弱い馬――そうトレーナーが表現する未完の大器。頭角を現した昨年ですら、まだ本物ではなかった。だが我慢の調整を重ねた末、ここに来ての目を見張る体質強化ぶり。佐々木晶調教師も「やっと、完成されてきたかな」と、待ちに待った“開花”宣言だ。

 それは直に手綱を取り続けてきた佐藤哲も同じ気持ち。「本当に芯が入った感じでしたね。今日は良すぎるくらいでした」。その分、馬の気持ちもかなり“カッカ”していたというが、「これにビビって折り合いばかり気にしたら、それこそ良さを出せない。いつもどおりに」と、レースでは2番手追走の積極策で勝負に出た。

 最後の直線を前にしての仕掛けどころに関しても、ブエナビスタ、そしてナカヤマフェスタに立て続けに差された昨年の反省を踏まえた上で、今年は佐藤哲自身がこだわり続ける騎乗理論を完ぺきに実践。そして、「後ろの馬を気にしていたらアーネストリーの競馬をできない。自分の馬のしっかりした騎乗を心がけた」と、文句なしの勝利に満足の笑顔を見せた。

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