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原口元気、スーパーサブから先発への挑戦
関塚ジャパンでの正念場となるクウェート戦

予選敗退の屈辱、世界大会への思い

持ち味のドリブル突破に加え、ゴール前での怖さを身につけた原口
持ち味のドリブル突破に加え、ゴール前での怖さを身につけた原口【Getty Images】

 1996年のアトランタ大会から、4大会連続で五輪の出場権を獲得している日本サッカー界。2012年のロンドン五輪を狙う関塚ジャパンも、先人たちが築き上げてきた実績を維持すべく、精力的な強化を行ってきた。彼らが世界大会に強いこだわりを見せるのは、2度続けてU−20ワールドカップ(W杯)出場を逃した不名誉な歴史によるところも大きい。卓越したスピードとドリブル技術を誇るアタッカーの原口元気もまた、08年にAFC・U−19選手権(サウジアラビア)で予選敗退の屈辱を味わった生き証人の1人である。


 当時のユース代表に飛び級で抜てきされた原口は、U−20W杯への出場権を懸けた韓国との大一番に出られず、0−3の惨敗をベンチから見守った。この悔しさを忘れたことは今までなかっただろう。2年後の10年AFC・U−19選手権(中国)も、浦和レッズと日本サッカー協会の招集に関する食い違いなどから、最後までユース代表に呼ばれないままだった。そんな過去があるからこそ、本人は「自分は世界大会に出たことがないし、ぜひ出たい。アジアユースで負けているからこそ、そういう気持ちが強い」と熱い思いを打ち明ける。


 とはいえ、原口のポジションである2列目は、誰もが認める大激戦区。昨年11月のアジア大会(広州)優勝に貢献した東慶悟(大宮)、山崎亮平(磐田)を筆頭に、A代表経験のある金崎夢生(名古屋)、Jリーグで活躍する宇佐美貴史(G大阪)、清武弘嗣(C大阪)、欧州で一躍名を馳せた宮市亮(フェイエノールト)、すでにA代表に定着している香川真司(ドルトムント)らタレントがひしめいている。生き残るには「目に見える結果」を出すしかない。

 その覚悟をピッチ上で示すかのように、今季の原口はゴールへの貪欲(どんよく)さを前面に押し出している。4月24日の名古屋グランパス戦を皮切りに、ここまで4ゴール。この数字は永井謙佑や大迫勇也、山崎、清武を上回り、ロンドン世代でトップに立っている。

短期間でプレーの幅を広げる原口

 ゴール前での怖さを身につけた男に関塚隆監督も注目。4月の神戸合宿から、コンスタントにU−22日本代表に呼ぶようになった。5月の豊田合宿では、J2のFC岐阜との練習試合で得点。流動的にポジションを変えながらチャンスメークにも参加するなど、サイドから一気に前へ出ていく浦和でのプレーとは一味違ったインパクトを残した。さらに、6月8日のJ2湘南ベルマーレとの練習試合ではトップ下でプレー。大迫といい形で絡み、持ち味のドリブル突破を生かしながらゴールを挙げた。

「真ん中だといっぱいボールを触れるから面白い。自分はシュートを打てる方だと思うんで、ゴールを狙ったり、ワンツーとかいろいろ駆け引きをしたら、必ず崩せると思う」と語り、本人もかなり手ごたえをつかんだ様子だった。


 短期間でプレーの幅を広げている原口を関塚監督も前向きに評価する。今月10日のアジア2次予選・U−22クウェート戦のメンバー発表の際、指揮官は原口をあえてFWに登録し、「FWに近いところでのプレーが彼の特徴。守備もできるし、動きの質も高く、パスもできる。中盤から前で幅広く仕事をしてほしい」と注文をつけた。選手個人についてあまりコメントしたがらない関塚監督が、このような話をするのは異例中の異例。それだけ期待の大きさをうかがわせた。


 しかしながら、19日に行われたクウェートとの第1戦、原口が先発の座を確保できるかは微妙だった。というのも、関塚監督の中ではアジア大会優勝メンバーに対する信頼度が絶大だからだ。原口が2列目左に入るなら山崎、トップ下なら東からポジションを奪わなければならない。しかし湘南との練習試合でも1本目は永井、東、山崎らが起用され、原口は2本目。状況はやや厳しいと見られた。


 そんな矢先の17日、エースの永井が左足首をねんざし、第1戦への出場が難しくなった。傑出した決定力を誇る快足FWが抜けるとなれば、攻撃力ダウンは否めない。そのマイナス面を克服するためにも、湘南戦の2本目のように、1トップの大迫とトップ下の原口をタテに配置し、攻めの厚みを持たせた方がいいのではないか。そんな見方も浮上し、原口のスタメンへの期待もにわかに高まった。

「誰が出るか分かんない状況なんで、出た選手をうまく使うことが大事。みんなでしっかり話し合ってやれば、いいゲームができるんじゃないかな。うまく合わせて自分の良さを出していけたらいいですね」と本人も明るく語るなど、メンバー入りを熱望していた。

元川悦子
元川悦子

1967年長野県松本市生まれ。千葉大学法経学部卒業後、業界紙、夕刊紙記者を経て、94年からフリーに。Jリーグ、日本代表、育成年代、海外まで幅広くフォロー。特に日本代表は非公開練習でもせっせと通って選手のコメントを取り、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは94年アメリカ大会から5回連続で現地へ赴いた。著書に「U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日」(小学館刊)、「蹴音」(主婦の友社)、「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年」(スキージャーナル)、「『いじらない』育て方 親とコーチが語る遠藤保仁」(日本放送出版協会)、「僕らがサッカーボーイズだった頃』(カンゼン刊)、「全国制覇12回より大切な清商サッカー部の教え」(ぱる出版)、「日本初の韓国代表フィジカルコーチ 池田誠剛の生きざま 日本人として韓国代表で戦う理由 」(カンゼン)など。「勝利の街に響け凱歌―松本山雅という奇跡のクラブ 」を15年4月に汐文社から上梓した

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