ジョコビッチ、マレー、世代交代なるか!?=ウィンブルドンを盛り上げる新王者候補
新時代到来の高揚を感じさせる一戦
新王者候補のジョコビッチはウィンブルドンで世代交代なるか!? 【(c)Getty Images】
ノバック・ジョコビッチ(セルビア)と、アンディ・マレー(英国)。ともに1987年生まれの24歳は、“フェデラー、ナダル時代”を脅かす新王者候補であり、友人であり、互いを強く意識するライバルでもある。
誕生日がわずか1週間違いであるマレーとジョコビッチが初めて対戦したのは、“ひと昔”の月日をさかのぼる13歳の日のことだ。
「スコアは確か、6−0、6−1で僕の勝ちだったはずだよ」
そうマレーがいたずらっぽく笑えば、「あれは、即行で忘れたい心の傷さ」とジョコビッチが苦笑する。
その初対戦から、10年。
互いに異なる道をたどり頂点へと肉薄した二人の足跡は、今年2月、全豪オープンの決勝戦で交錯する。それは、ロジャー・フェデラー(スイス)とラファエル・ナダル(スペイン)が交互に賜杯を掲げる“2強時代”をやや食傷気味に感じていたファンたちに、新時代到来の高揚を感じさせる一戦であった。
ところがその決勝後、両者が歩んだ道程は、皮肉なまでのコントラストを描くことになる。マレーとの対決を制し二つ目の全豪タイトルを手にしたジョコビッチは、以降も連勝街道を驀進(ばくしん)し、その快進撃は先の全仏オープン準決勝まで途切れることはなかった。ナダルの「現在、最も強い選手」というジョコビッチ評を待つまでもなく、この半年に限って言えば、彼こそが最強なのは万人が認めるところだろう。
ライバルとの激戦で復活
そのようなマレーがベストフォームを取り戻す契機となったのは、やはり自他ともに認めるライバル、ジョコビッチとの一戦だった。全仏オープンの前哨戦となる5月のローマ大会準決勝で、最終的にこの大会を制したジョコビッチからマッチポイントを奪う大熱戦。この試合で自信を得たマレーは、全仏オープンでは足を負傷しながらもベスト4へと進み復調を印象づけた。
そして2週間前のクイーンズ大会では、アンディ・ロディック(米国)やジョー=ウィルフリード・ツォンガ(フランス)ら、芝を得意とする選手を破って今季初優勝。前哨戦での勝利を手土産に、マレーは地元開催となるウィンブルドンへと乗り込んできたのだ。