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吉武ジャパン、“プラチナ世代”を越えられるか
U−17ワールドカップ・メキシコ2011 開幕プレビュー

厳しいブロックでの戦い

GK中村航輔(写真)は安定したセービングとポジショニング、巧みなコーチングで最後尾に構える
GK中村航輔(写真)は安定したセービングとポジショニング、巧みなコーチングで最後尾に構える【写真:MEXSPORT/アフロ】

 いよいよ18日から、U−17ワールドカップ(W杯)・メキシコ2011が開幕する。吉武博文監督率いるU−17日本代表は初戦のジャマイカ戦を皮切りに、第2戦・フランス戦、第3戦・アルゼンチン戦を戦い、決勝トーナメントに進むためには、グループリーグ2位以内もしくは各グループ3位の上位4チームに入らなければならない。

 率直に言えば厳しいブロックに入った。フランス、アルゼンチンは実力十分のチーム、初戦で当たるジャマイカは開催国メキシコに近く、地域的なアドバンテージがある。


 史上初となる3大会連続のU−17W杯出場を果たした吉武ジャパンだが、このチームは世間ではそれほど注目されていない。日本では長友佑都や本田圭佑、内田篤人といったヨーロッパでプレーする選手が集結した日本代表や、ちょうど同時期にロンドン五輪アジア2次予選のクウェート戦に挑むU−22日本代表にばかり注目が集まり、年代別とはいえW杯を戦うこのチームには目が向けられていない。

  

 前々回(2007年韓国大会)は柿谷曜一朗(徳島)、水沼宏太(栃木)を擁し、前回(2009年ナイジェリア大会)は宇佐美貴史(G大阪)、宮市亮(フェイエノールト)らを擁して大きな注目を浴びたが、今回はほとんどクローズアップされていないと言っていいだろう。

 だからこそ、彼らにはこの世間の反応に対して、大きな刺激を与えてほしい。サッカーファンの目を向けさせるために、そして日本サッカー界の新たな歴史を刻むために、決勝トーナメント進出は何としても果たしたい。柿谷や宇佐美たちをもってしても破れなかったグループリーグの壁。今回の吉武ジャパンは注目度こそ低いが、安定感は過去2大会を凌ぐ、まとまりのあるチームに仕上がっている。

屈強で安定感のあるディフェンスライン

 このチームの最大のストロングポイントは守備にある。GKには安定したセービングとポジショニング、そして巧みなコーチングで最後尾にどっしりと構える中村航輔。そして、センターバックにはいずれも185センチの岩波拓也と植田直通の屈強なDFが構える。


 過去2大会はセンターバックがチームのアキレスけんになっていた。カバーリングや1対1の技術に長けた選手はいたが、彼らに決定的に足りなかったものは高さだった。170センチ台の選手ばかりで、180センチを越える選手はいなかった。サッカーは身長で勝負するスポーツではないが、GKとセンターバックというポジションでは話は別だろう。“プラチナ世代”と呼ばれ、史上最強チームと目されていた前回のチームも、相手の単純なクロスやロングボールに競り勝てずにあっさりと失点し、グループリーグ3戦合計で5得点を奪いながらも、それを大きく上回る9失点を喫して全敗に終わっている。


 今回はセンターバックが2枚とも180センチオーバーで、共にフィジカルに優れ、空中戦に強い。ただ、植田は調子を落としており、岩波と172センチの新井純平が組む可能性もある。新井は右サイドバックもこなすなどスピードがあり、守備センスとカバーリングに優れた選手。岩波とのコンビも良好で、安定感は非常に高い。


 両サイドバックには個性的な人材が豊富にそろう。スピードがあり、高い突破力を誇る川口尚紀、精度の高い左足で長短のパスを巧みに操る早川史哉、安定感のある守備とクロスやクサビの質が高い室屋成、本職はFWながらサイドバックでも存在感を示す高木大輔、さらに本来は中盤の選手だが、適格な状況判断能力と守備、ドリブル、パスとどれも高いアベレージを持つ秋野央樹、そして前述の新井と、実に6人の選手がサイドバックをこなせる。


 加えて、高木と秋野、新井以外にも、川口はFWもでき、早川と室屋はサイドハーフとしても高い能力を発揮するなど、非常にユーティリティー性の高い選手がそろっている。屈強で安定感のあるセンターバックとGKに個性的なサイドバックと、ディフェンスラインの安定感と攻撃力は非常に高いものがある。

安藤隆人
安藤隆人

大学卒業後、5年半勤めた銀行を退職して単身上京し、フリーサッカージャーナリストに転身した異色の経歴を持つ。ユース年代に情熱を注ぎ、日本全国、世界各国を旅し、ユース年代の発展に注力する。2012年1月にこれまでのサッカージャーナリスト人生の一つの集大成と言える、『走り続ける才能たち 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)を出版。筆者自身のサッカー人生からスタートし、銀行員時代に夢と現実のはざまに苦しみながらも、そこで出会った高校1年生の本田圭佑、岡崎慎司、香川真司ら才能たちの取材、会話を通じて夢を現実に変えていく過程を書き上げた。13年12月には実話を集めた『高校サッカー 心揺さぶる11の物語』(カンゼン)を発刊。ほかにも『高校サッカー聖地物語 僕らが熱くなれる場所』(講談社)、があり、雑誌では『Number』、サッカー専門誌などに寄稿。昨年まで1年間、週刊少年ジャンプで『蹴ジャン!SHOOT JUMP!』を連載した。

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