好調のベッテル、連覇は安泰!? 可夢偉も存在感をアピール=F1

田口朋典

連覇を狙うベッテル、序盤は6戦5勝

ベッテルは開幕から6戦5勝と好調を維持している。連覇は安泰か!? 【Getty Images】

 2011年F1世界選手権はオーストラリア、マレーシア、中国という序盤の3戦に続き、トルコ、スペイン、モナコの5月3連戦が終わった。

 開幕2連勝を果たしたディフェンディングチャンピオン、レッドブルのセバスチャン・ベッテルに対し、マクラーレンのルイス・ハミルトンが中国GPで一矢を報いて迎えた3戦だったが、この5月の3戦を振り返れば、ベッテルはトルコGP、モナコGPでの2度のポール・トゥ・ウインを含む3連勝をマーク。わずか6戦にして、ランキング2位のハミルトンに対して60ポイント近いリードを築くに至った。

 開幕以来、長足の進歩を遂げるマクラーレンの攻勢を受けていることに加え、未だKERS(運動エネルギー回生システム)に不安を抱えているレッドブルではあるが、すでにタイトルを獲得した昨年の総獲得ポイント(256)の55パーセントに達する143ポイントを稼ぎ出している。昨年と同じ勝ち星である5勝を挙げたベッテルにとっては、ほぼ満点に近い開幕ダッシュだ。昨年は序盤6戦で1勝に留まり、後半追い上げて初の戴冠を果たしたことを考えれば、ベッテルの連覇への可能性は非常に高いとも言える。

注目すべきハミルトンとアロンソの爆発力

 だが、その一方では昨年ベッテル自身がやってのけたように、現在ランキング2位に甘んじているハミルトンを筆頭に、リズムに乗り切れないマーク・ウェバー(レッドブル)やジェンソン・バトン(マクラーレン)、さらにはフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)らが逆転する可能性も十分にある。ベッテルは昨年、欧州GPからハンガリーGPにかけて4戦連続ポールポジションを奪うも1勝に留まっている。スピードはいかんなく発揮するものの、不完全燃焼的なレースを続けた昨年の中盤戦のような状況が起これば、無敵に見えるベッテルとはいえ慢心は許されない。

 特に昨年は勝ち星が分散したこともあり、5人のドライバーによるタイトル争いが展開され、序盤出遅れたベッテルにタイトルへの勝機が生まれた。たが、現状はベッテルによるワンサイドゲームの様相。ここからの中盤戦でハミルトン、ウェバー、バトン、アロンソの内、誰かに勝ち星が集中するようなことがあれば、逆にベッテルも安泰ではないのだ。

 そう考えたとき、やはり注目したいのはハミルトンとアロンソのふたりだろう。時としてモナコGPのように他車をクラッシュに追い込むなど、アグレッシブ過ぎるハミルトンに対し、無謀なチャレンジをせず常に冷静なイメージのあるアロンソ。受ける印象は対象的だが、このふたりには逆境を跳ね返す爆発的な力があることは証明済みだ。その点でベッテルにとって、彼らはこの先バトンやウェバーより警戒すべき存在となるだろう。

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著者プロフィール

1966年生まれ。大学卒業後、趣味で始めたレーシングカートにハマり、気がつけば「レーシングオン」誌を発行していたニューズ出版に転職。隔週刊時代のレーシングオン誌編集部時代にF1、ル・マン、各種ツーリングカーやフォーミュラレースを精力的に取材。2002年からはフリーとなり、国内外の4輪モータースポーツを眺めつつ、現在はレーシングオン誌、オートスポーツ誌、CG誌等に執筆中。自身のブログ“From the Paddock”(スポーツナビ+ブログで)では、モータースポーツ界の裏話などを披露している

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