錦織圭が全仏オープンで示した現在地=トップ50からさらなる躍進へ
1回戦で世界ランキング56位のルー・イェンスンに勝った錦織だが、2回戦では36位のスタコブスキーに敗れた 【写真:ロイター/アフロ】
全仏のクレーコートという特性、さらに選手間の相性もあることを百も承知の上で少々乱暴に言ってしまえば、50位前後の選手にはかなりの確率で勝つことができ、30位前後の選手とは同等レベルの試合が可能……ということだ。さらに、今年1月に14位のマリン・チリッチ(クロアチア)、そして4月には11位のマーディ・フィッシュ(米国)を破ったことを考えれば、その日の調子やサーフェス次第では、10位前後の選手を破る力も十二分に持っていると言えるだろう。
もっとも今大会は、大会直前に腎臓結石と疑われるほどの腹痛に襲われ、一週間はラケットをまったく握れない状態が続いた(実際は、胃酸過多により胃が荒れたための腹痛)。
「一週間前は、全仏には出られないだろうと思っていた」という状況を考えれば、今大会の成績は評価に値するし、「事前の準備が万全だったなら……」との期待を抱かずにもいられない。
日本人最高ランキングにも「そこまでの達成感はない」
その一方で、「正直、そこまでの達成感はない。これからもっと上がりたい」と、貪欲に上を狙う気持ちも口にしている。
「けが無くプレーが続けられれば、年内50位以内は、確実に行けると思っている」。
特に気負うでも色めき立つでもなく、さらりとそう言い切る自然体の自信も、先述した“現在地”を考えれば、当然だろう。