女王対決はアパパネ劇勝! ブエナビスタを真っ向撃破=ヴィクトリアマイル

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アパパネ(中)がブエナビスタ(手前)を破り春の女王対決を制す! 【スポーツナビ】

 “女王対決”は1歳下の三冠牝馬に軍配! JRA春の女王決定戦・第6回GIヴィクトリアマイルが15日、東京競馬場1600メートル芝を舞台に行われ、蛯名正義騎乗の2番人気アパパネ(牝4=国枝厩舎、父キングカメハメハ)が優勝。中団外から最後の直線で一気に伸びると、岩田康誠が騎乗した1番人気のGI5勝馬ブエナビスタ(牝5=松田博厩舎)の猛追をクビ差しのぎきり、注目された“女王対決”を制した。良馬場の勝ちタイムは1分31秒9。

 アパパネはこれでJRA通算12戦7勝。2009年のGI阪神ジュベナイルフィリーズ、2010年のGI桜花賞、同GIオークス、同GI秋華賞に続き、JRA・GI5勝目。この記録はグレード制が導入された1984年以降ではJRA史上9頭目となり、牝馬でGI5勝を達成したスピードはブエナビスタを抜いて史上最速となった。

 一方、2着ブエナビスタからさらにクビ差遅れた3着には、福永祐一騎乗の3番人気レディアルバローザ(牝4=笹田厩舎)が入った。

「“ついて来い!”と。受けて立つつもりで」

ファンの声援に応える蛯名、アパパネとの信頼関係がもたらした勝利でもあった 【スポーツナビ】

 万感の思いがこもった右の拳が、“ヨシッ!”と力強く振り下ろされた。ゴール直後に駆け巡った気持ちを、蛯名がゆっくりと振り返った。
 「本当にえらいな、この馬は、って思いましたね。僕も最後のゴール前はドキドキだったんですが、ブエナビスタを負かすことができて本当にうれしかった。相手は去年の年度代表馬ですからね」

 大きな注目を集めていた1歳違いの女王対決。とはいえ、ブエナビスタの単勝オッズ1.5倍に対し、アパパネは4.1倍。牡馬のトップ相手に互角以上の競馬を展開し、年度代表馬に選出された実績から見ても、下馬評は明らかにブエナビスタ優勢だった。アパパネを管理する国枝栄調教師ですら「正直、善戦してくれればいいなと思っていた」と、レース前の気持ちを明かしたくらいだ。

 しかし、これまでの11戦すべてで手綱を握り、「彼女のことは僕が一番よく分かっている」と自負する蛯名だけは、対ブエナビスタへの思い、いや気迫が違っていた。
 「レースでは、おそらくピッタリと後ろにくっついてくるだろうなと分かっていましたから。だから、僕は“ついて来い!”と。受けて立つつもりで、僕の馬の方が強いという気持ちで乗りました」

ブエナビスタ猛追もここからがアパパネの真骨頂だ

ゴール前はマッチレース! ブエナビスタに迫られてからがアパパネの真骨頂だ 【スポーツナビ】

 蛯名の予想通り、レースは中団に構えたアパパネのすぐ後ろをブエナビスタが追走。休み明けだった前走のGIIマイラーズカップはスローペースに苦しんだアパパネだったが、この日はGIにふさわしい速い流れとなり、「ここ何走かの中でも折り合いが一番スムーズにつきました。これなら最後は弾けてくれると思いました」と、絶好の展開となる。

 そして迎えた最後の直線は、「ついて来い!」。蛯名は迷うことなく、そして出し惜しみすることなく一気のエンジン全開。自慢の加速力でブエナビスタをグイッと引き離すと、あとはゴールへと真一文字の伸び――いや、ラストの瞬発力はやはり“現役最強”のブエナビスタが一枚上か。坂を上がったところからグングンと迫られてしまう。しかし、ここからが、アパパネの本当の真骨頂だ。

 「秋華賞でもそうでしたが、後ろから迫られてからが本当にしぶといんですよね。さらに頑張ってくれるんです。そこがかわいいんですよね(笑)」
 抜かせそうで抜かせない、ド根性の最後のひと押し。そして1度も先頭を譲ることなく、クビ差死守しての最強女王撃破だった。

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