女王対決はアパパネ劇勝! ブエナビスタを真っ向撃破=ヴィクトリアマイル
アパパネ(中)がブエナビスタ(手前)を破り春の女王対決を制す! 【スポーツナビ】
アパパネはこれでJRA通算12戦7勝。2009年のGI阪神ジュベナイルフィリーズ、2010年のGI桜花賞、同GIオークス、同GI秋華賞に続き、JRA・GI5勝目。この記録はグレード制が導入された1984年以降ではJRA史上9頭目となり、牝馬でGI5勝を達成したスピードはブエナビスタを抜いて史上最速となった。
一方、2着ブエナビスタからさらにクビ差遅れた3着には、福永祐一騎乗の3番人気レディアルバローザ(牝4=笹田厩舎)が入った。
「“ついて来い!”と。受けて立つつもりで」
ファンの声援に応える蛯名、アパパネとの信頼関係がもたらした勝利でもあった 【スポーツナビ】
「本当にえらいな、この馬は、って思いましたね。僕も最後のゴール前はドキドキだったんですが、ブエナビスタを負かすことができて本当にうれしかった。相手は去年の年度代表馬ですからね」
大きな注目を集めていた1歳違いの女王対決。とはいえ、ブエナビスタの単勝オッズ1.5倍に対し、アパパネは4.1倍。牡馬のトップ相手に互角以上の競馬を展開し、年度代表馬に選出された実績から見ても、下馬評は明らかにブエナビスタ優勢だった。アパパネを管理する国枝栄調教師ですら「正直、善戦してくれればいいなと思っていた」と、レース前の気持ちを明かしたくらいだ。
しかし、これまでの11戦すべてで手綱を握り、「彼女のことは僕が一番よく分かっている」と自負する蛯名だけは、対ブエナビスタへの思い、いや気迫が違っていた。
「レースでは、おそらくピッタリと後ろにくっついてくるだろうなと分かっていましたから。だから、僕は“ついて来い!”と。受けて立つつもりで、僕の馬の方が強いという気持ちで乗りました」
ブエナビスタ猛追もここからがアパパネの真骨頂だ
ゴール前はマッチレース! ブエナビスタに迫られてからがアパパネの真骨頂だ 【スポーツナビ】
そして迎えた最後の直線は、「ついて来い!」。蛯名は迷うことなく、そして出し惜しみすることなく一気のエンジン全開。自慢の加速力でブエナビスタをグイッと引き離すと、あとはゴールへと真一文字の伸び――いや、ラストの瞬発力はやはり“現役最強”のブエナビスタが一枚上か。坂を上がったところからグングンと迫られてしまう。しかし、ここからが、アパパネの本当の真骨頂だ。
「秋華賞でもそうでしたが、後ろから迫られてからが本当にしぶといんですよね。さらに頑張ってくれるんです。そこがかわいいんですよね(笑)」
抜かせそうで抜かせない、ド根性の最後のひと押し。そして1度も先頭を譲ることなく、クビ差死守しての最強女王撃破だった。