大畑が語った「最大のライバル」と「後継者」=みなとスポーツフォーラム 2019年ラグビーワールドカップに向けて
ラグビーへの熱い思いを語った大畑大介氏 【写真提供:JRFU】
「非常識を常識に変えてきた」と振り返ったラグビー人生と、今後の大畑が進む道について語った中から一部をご紹介しよう。
「僕、できるんで選んでください」と電話して代表合宿へ
しかし、決してあきらめない反骨心が大畑の道を切り開いた。京都産業大学の猛練習に耐え、南アフリカで開かれた学生ワールドカップ(W杯)で活躍。そこからメンバー構想に入っていなかった7人制の代表に「僕、できるんで選んでください。合宿行きますから」と直接連絡して合宿に参加し、代表に選ばれるなど型破りな選手人生を送ってきた。
その強い意志が周囲に認められてから、大畑は一気に輝いた。学生W杯に選ばれてから半年で日本代表に昇格。初戦で3トライを奪い、日本ラグビー界にとって欠かせない存在となった。1999年に行われた世界最高峰の7人制大会「香港セブンズ」では、今も“史上最高のトライ”と語り継がれる100メートル独走トライで世界にその名を知らしめ、2001年のテレビ番組「スポーツマンNo.1決定戦」の優勝で、ラグビー以外のファンも獲得した。
昨季限りで引退し、今後のラグビーとの関わり方に注目が集まる中、「19年のW杯へアドバイスができる立場に自分がいることが非常に幸せかなと。ラグビーに対して何かアプローチしていければと思っています」と意欲を示し、観客から大きな拍手が送られた。
最大のライバルは仙波優 期待するのは山田、正面
――最大のライバルは?
常に昨日の自分に勝つことが一番の目標でした。軽い人間だとイメージされてるかもしれないですけど(笑)、本当によく練習するんですよ。日本代表でもカーワン(ヘッドコーチ)に「いろいろな選手を見てきたけど、練習するなって言うのはお前だけや」と言われました。
自分の中で引退する基準は「もう、このぐらいでいいかな」と思ったら引退しようと思っていました。どんなにきつくても熱が出ていようと、普段なら1時間でできる練習に3時間かかってもやめなかった。昨日の自分に負けたくなかった。
プレーヤーとして一人だけライバルと思うのは今は亡き仙波優(関東学院大−トヨタ/99年に死去)です。同世代としてすごかったし、仲も良かった。お互いに一番しんどい時期を戦って、絶対に2人で日本代表の11番と14番を取ろうなと話していました。一番、敵として正面にいて燃えたのがあの男です。現役の中では小野澤(宏時/サントリー)ですけど、自分の中で一番テンションを上げてくれるのは仙波優でした。
――今後に期待している選手は?
山田(章仁/パナソニック)に期待しています。若い時の自分を見ているようでかわいいですね。競技を見に来てもらうにはキャラクターが必要。僕がテレビに出たことで、見に来てくれた人もいるわけです。山田は華のある、面白そうな選手と思わせる選手であることは間違いない。「大畑の後を継ぐ」と言ってきたのも彼ぐらいですから。
あとはかわいい後輩の正面(健司/神戸製鋼)です。西の正面、東の山田で2人足してもおれには足りないぐらいやぞ、と言ってるんですが(笑)。彼らには19年に選ばれる選手になれと。19年を目指す子供たちのあこがれになれと言っています。
――19年に向けてどういう活動をしますか?
ラグビーへの感謝の気持ち、育ってきたものが大きくなってほしいという気持ちは人一倍あると思います。どういう道に進むのか、ラグビーのどのポジションで生きていくかは見えていないですけど、手を伸ばせば横にある距離は保っておきたいです。
大畑大介にしかできないこともあると思いますし、そういった意味で側面支援の方が良いかもしれません。どういうニーズがあって、どう動くか……。自分が育ってきたラグビーに携わっていきたいですし、広めていきたい。19年に向けて、ラグビーの伝道師・大畑として進んでいきたいです。
<了>
「みなとスポーツフォーラム 2019年ラグビーワールドカップに向けて」はラグビーワールドカップが開催される2019年まで、100回を目標に行われる。次回、第12回は5月31日、サントリーGM兼監督のエディー・ジョーンズ氏を迎え、「W杯で勝つチームの条件」というテーマで行われる。
協力:(公財)日本ラグビーフットボール協会
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