球児の“本命”は日大三 出場校の仕上がりを最終チェック=第83回選抜高校野球・直前リポート
神宮王者の日大三 13校が優勝候補に
13校が優勝候補に挙げた神宮王者の日大三高。初戦で明徳義塾と対戦する 【写真は共同】
14日に行われた『キャプテントーク』で、32校のうち13校の主将が優勝候補と挙げたのが神宮王者の日大三高(東京)。甲子園練習では1番を打つ高山と7番の菅沼がそれぞれ本塁打を放った。エースの吉永は18日の大阪桐蔭高戦で5回1安打1失点、20日の太成学院大高戦では7回を無失点と抜群の安定感を発揮している。投手陣は昨秋、吉永に頼っていたが、右サイドの中野、長身左腕の関が成長し、主将の畔上も秘密兵器的な存在になってきたようだ。初戦の相手は明徳義塾高(高知)。馬淵監督は「1番力のあるチームと32番目のチームの戦い」と評している。馬淵監督の采配で日大三高にどう挑むか非常に楽しみだ。
32人の主将が選んだ優勝候補の2位は「出場校すべてにチャンスあり」で6票。その次は2票で履正社高(大阪)だった。エースの飯塚は、今オフにひじの位置を上げる新フォーム作りに取り組んだ。春の練習試合では持ち味の安定感を発揮。16日の岸和田産高戦の3回パーフェクトを含め、ほとんど失点を喫していない。
昨夏準Vの東海大相模vs.好投手擁する関西
昨夏の甲子園を沸かせた投手の一人が報徳学園高(兵庫)の田村。エースとなった秋は不調で苦しんだが、この春になってようやく復調の兆しが見えてきた。15日の春日丘高戦で今シーズン初完投。20日の市神港高戦でも7回を無失点に抑えた。初戦の相手は初出場の城南高(徳島)。今大会出場選手でナンバーワンの打率(6割9厘)を誇る4番・竹内を中心とした強力打線は甲子園練習でも快音を連発していた。田村に対してどう挑むか。
九州国際大付高(福岡)は三好、高城のバッテリーを中心に打撃の好調さが甲子園練習で見てとれた。智弁和歌山高(和歌山)は上野山、青木、宮川の3投手が軸になるチームだが、「今は古田の調子も良い」と捕手の道端は話してくれた。打者陣も早い仕上がりで総合力の充実度がうかがえる。初戦で東北高(宮城)と対戦することになった大垣日大高(岐阜)は、阪口監督が「(エースの)葛西は絶好調」と抽選会で太鼓判を押した。
金沢・釜田と波佐見・松田に注目
その波佐見高と初戦で対戦する横浜高(神奈川)は、甲子園練習でやや不安な部分が見られた。18日に遊撃手の青木が右手小指を骨折。渡辺監督は「内野の連係が不安」と頭を痛めていた。
19日に大阪入りし翌日が甲子園練習と慌ただしく日程をこなした東北高。甲子園では30分の多くを打撃練習に割いた。1週間以上実戦的な練習を行えず、調整の遅れは否めないが、甲子園での打撃を見る限りは、バットが振れていたようにも感じる。主催者側の配慮で初戦は6日目。この時間でどこまで実戦感覚を取り戻すことができるか。
さて、組み合わせを4分割して大会の行方を探る。Aブロックは九州国際大付高、Bブロックは日大三高と金沢高、Cブロックは履正社高と智弁和歌山高あたりが中心になりそう。秋の地区大会優勝校が5チーム入ったDブロックは予測が難しい。だが、甲子園練習を見る限り、東海大相模高が不気味に見えてきた。
一生懸命なプレーで人々に笑顔を
だが、大会開催が決まった以上、選手にできることは一生懸命なプレーである。「なぜ、この大会が開催できたのか」「なぜ今、野球をすることができるのか」ということの意味を選手一人一人が真剣に考え、最後まで全力で戦う姿勢が重要だ。その姿勢を貫くことが、被災地で耐え難い苦しみを味わっている人々を元気にさせるだろう。
今大会では試合の勝ち負けよりも、そんな一生懸命さを忘れることなく試合に臨んでほしい。そして、大会が終わった時、苦しみを味わった人々に再び笑顔が戻ることを心から願う。
<了>
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