ソフトバンクが抱える贅沢な悩み=鷹詞〜たかことば〜
超強力打線の陣容は果たして!?
打線の中軸が、決められない。
決まらないのではない。ぜい沢な悩みである。
唯一確定的なのは3番だ。今キャンプ中に紅白戦を4試合行ったが、すべての試合でこの打順に起用されたのが内川聖一だった。横浜からFA移籍してきた“ヒットマン”は「周りの期待は感じるし、それ以上の活躍をしたいと思うのがプロ野球選手として当然のこと」と充実感いっぱいの表情でこのキャンプを過ごしている。
4番候補がずらり5人も
最有力候補は、こちらも新戦力のアレックス・カブレラである。日本球界10年間で通算346本塁打を放った“怪物”がキャンプ初日からチームに合流。第1クール2日目のフリー打撃では早くも場外弾をかっ飛ばし、小久保裕紀や多村仁志をあ然とさせた。
しかし、11日の第3クールからキャンプ打ち上げ前日の22日に至るまで別メニュー調整を続けている。室内での打撃は行っているが、いつ実戦モードに入るかは定かでない。それでも秋山幸二監督は「実績も経験年数もあるし任せているよ」と涼しい表情を見せる。余裕さえ感じさせるのは、たとえカブレラが欠けたとしても代役は十分にそろっているからである。
昨季最も多く4番に座った小久保をはじめ、現役唯一の三冠王経験者の松中信彦もいる。また、ホセ・オーティズも加わってくる。福岡ソフトバンクに入団して以降の2シーズンで4番の経験はないが、今春の紅白戦では2試合に4番で出場した。昨季はシーズン後半にひざを痛めて失速したが、前半戦では23本塁打を放ち本塁打王争いのトップを快走した実績から可能性は十分にある。さらに昨季のチーム三冠王の多村も忘れてはならない。多村は昨年のオールスター第1戦でパ・リーグの4番も務めている。
ベテランにも危機感
その一方で上記の選手たちは危機感も募らせている。多村はライトを守るが、ファーストとレフトと指名打者の3つのポジションを残る5人で争うことが濃厚。21日の紅白戦では内川がセンターを守ったが、広いヤフードームを本拠地とするだけに守備を軽視するわけにはいかない。実績も貫禄も十分な小久保や松中でさえ「今季は試合に出られる保証はない」と気を引き締めている。特に小久保はあと130安打に迫った通算2000本安打にチャレンジするシーズン。「試合に出ないことには(達成は)ないからね」と話す。
現段階で秋山監督は開幕オーダーについて触れることはない。オープン戦の仕上がりも見つつ、「コーチともに話しながら判断していきたい」という。
何パターンもの“ベストメンバー”を組める今季の福岡ソフトバンク。パ・リーグ連覇はもちろんの目標。ただ、昨季のクライマックスシリーズで敗れた悔しさを誰もが忘れておらず、「日本一」の言葉は首脳陣や選手から絶えることなく聞かれた。
8年ぶりとなる12球団の頂点へ。今季は圧倒的な力で突き進んでいくつもりだ。
<了>
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