棚橋がまさかの逆ラリアット発射! 小島撃破し初防衛=新日本プロレス

高木裕美

棚橋が小島を返り討ちにあわせ、IWGP王座初防衛に成功! 【高木裕美】

 20日の新日本プロレス「The New Beginning」宮城・仙台サンプラザホール大会では、IWGP3大シングルマッチなどが開催され、超満員札止めとなる3200人を動員した。

 メーンイベントのIWGPヘビー級選手権試合では、王者・棚橋弘至が前王者の小島聡を退け初防衛に成功。試合後は超満員膨れ上がった客席を見てリング上で号泣し、エアギター2連発から「仙台の皆さん、愛してまーす!」と絶叫した。
 両者は昨年8月の「G1クライマックス」決勝戦、今年の1.4東京ドームという大舞台で対戦し、G1では小島がラリアットで勝利して外敵として初の優勝を達成。だが、新春のドームでは棚橋がハイフライフローでリベンジし、ベルトを奪取している。王座から転落した小島は1.30後楽園ホールで行われた次期挑戦者決定戦で真壁刀義を倒して挑戦権を強奪。わずか1カ月半でのリベンジ戦が決まった。

号泣の棚橋「これがオレの始まり。オレの変化」

 試合前、小島が連れて来たセコンドのタイチに客席から「帰れ」コールが起こるも、タイチは無視。だが、後楽園で煮え湯を飲まされた真壁が強引に連れ出してタイチを強制退去させたことにより、真の意味での1対1での戦いが実現することになった。

 小島は強烈なDDTで棚橋の首にダメージを与え、ヒザ蹴りを後頭部に突き刺すと、さらにコジコジカッターを放ち、試合開始15分を待たずに早くも右腕のエルボーパットを宙に投げるが、棚橋も右腕攻めで反撃。だが、ハイフライフローをヒザ剣山でブロックされた直後に、コーナーに座った状態で下からラリアットでカチ上げられて、そのまま一気に場外へ転落。あわやリングアウト負け寸前まで追い込まれた。
 20分を経過し、ついに小島のカウンターのラリアットが炸裂するも、カウントは2。ならばともう1発狙いにきたところへ、今度は棚橋が小島のお株を奪う掟破りの逆ラリアットをクリーンヒット。このまさかの一撃で一気に試合の流れを引き寄せると、小島のエルボー連打を耐えしのいで、スリングブレイド、ドラゴンスープレックス、うつ伏せ&仰向け状態へのハイフライフロー2連発で返り討ちにした。

 仙台では実に17年ぶりとなるIWGPヘビー級王座戦を最高の形で締めくくった棚橋は、会場を埋め尽くしたファンの歓声に感極まって号泣。名実ともに「新日本のエース」としてファンと一体化した。
 かつて91年の2月20日に新日本に入門し、05年の2月20日にIWGP&三冠の4冠王になった小島に、並々ならぬライバル心を抱いていた棚橋は、自分もこの2月20日に生まれ変わるという覚悟を、白い新コスチュームとラリアットでアピール。「G1とドームでさんざんやられたから、やり返したいじゃん」という思いと、「これがオレの始まり。オレの変化」という決意から生まれたラリアットで、まさに「オレの進化が止まんねぇ」ことを証明した上で、この先も、「NEW JAPAN CUP」優勝者をはじめとする敵を倒し続けることを誓った。

「大事なものを思い出した」後藤が新世代の内藤に辛勝

後輩に辛勝だった後藤だが、気持ちを新たにNJC3連覇とIWGP初戴冠に狙いを定めた 【高木裕美】

 セミファイナルでは後藤洋央紀は新世代エースの内藤哲也に辛勝するも、試合後は清々しい表情を見せた。
 これまでは自分が上の世代を追いかけていく図式がほとんどだった後藤だが、今回の相手は自分よりもさらにキャリアが下の後輩。一騎打ちが決まって以来、シリーズを通して常に挑発を続けてきた内藤は、この日もテーブルを持ち出して後藤を後頭部から打ちつけたり、コーナーに逆さ吊りにして顔面蹴りを浴びせたりと自由奔放なファイトを見せつけ、押される展開となった後藤には観客からの厳しい声が容赦なく浴びせられた。

 だが、後藤も10分過ぎに雪崩式ブレーンバスター、雪崩式回天を繰り出すと、内藤が雪崩式フランケンシュタイナーからのスターダストプレスを自爆させたのを機に一気に反撃に転じ、牛殺し、PKからの昇天・改で勝利。

 試合後は内藤と異例の握手をかわし、「この戦いで大事なものを思い出した」という後藤は、「次は形のあるものを狙いたい」と、史上初となる春の「NEW JAPAN CUP」3連覇、そしてその先のIWGP王座初戴冠に狙いを定めた。

元WWEからの刺客が日本デビュー鮮烈勝利

元WWEのMVPが鮮烈デビューで新日本マット大暴れの予感 【高木裕美】

 第7試合では元WWEの刺客MVPが新日本に初上陸。真壁刀義、本間朋晃組に圧勝し、小島、TAKA、タイチと共に小島軍団(仮)での新日本マット制圧を高らかに宣言した。

 筋肉質な体いっぱいにタトゥーが彫り込まれたMVPは、その見た目だではななくパワーでも観客を圧倒。本間を軽々とリフトアップして場外へ落とし、プランチャを見舞うと、真壁とのエルボー合戦でも打ち勝ってみせるが、真壁もラリアットで反撃。だが、コケシを自爆した本間をつかまえ、最後はTTB(Take To the Bank)で圧勝した。

 当初、パートナーを務める予定であったNOSAWA論外が大会当日の未明に仙台市内でタクシー窃盗の疑いで逮捕され欠場になるというハプニングにもまったく動じず、その実力を見せ付けたMVPは、今後はここを主戦場に4人で新日本マットを荒らしまわることをアピール。「どこの馬の骨か知らないけど、なかなかやるじゃねえか」とその実力を認めた真壁からの一騎打ち要求にも「あいつがキングコングでオレがゴジラ。いつでもやってやるよ」と応じる構えを見せた。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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