メッシvs.C・ロナウド、国の誇りを懸けたライバル対決

直接対決はメッシが優勢

クラブでの直接対決はメッシ(右)が優勢。C・ロナウドはゴールすら奪えていない 【Getty Images】

 スイスのスタッド・ドゥ・ジュネーブで2月9日に行われる親善試合は、単なる1試合ではない。アルゼンチンとポルトガルが激突する試合は、世界チャンピオンのスペインを親善試合で破ったチーム同士の対戦ということだけではなく、現時点で世界最高の選手と言われるリオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウドの対戦でもあるのだ。

 ここ最近、さらにライバル関係を強めてきたメッシとC・ロナウドは、欧州を代表するクラブ、バルセロナとレアル・マドリーでそれぞれプレーしており、世界最高レベルのスペインリーグでも、ほかのアタッカーと比べてゴール数で突出した成績を残している(第22節終了時点で、共に24ゴールでランキングトップ)。
 とはいえ、両者がリーグで対戦した過去3試合ではメッシが常にアドバンテージを握っており(バルセロナの本拠地カンプノウで2試合、レアル・マドリーの本拠地サンチャゴ・ベルナベウで1試合をしているが、バルセロナが3戦全勝。特に直近の試合では5−0と圧勝している)、ロナウドはゴールすら奪えていない。

 またロナウドは2月6日のレアル・ソシエダ戦で2得点を決めたものの、1月20日のスペイン国王杯アトレティコ・マドリー戦でゴールを奪ってから、4試合連続ノーゴール。レアル・マドリーのユニホームに袖を通して以来、最悪の時期を過ごしていた。その間もメッシはゴールを量産し、その前には2年連続でFIFAバロンドール(年間世界最優秀選手賞)を受賞している。

指揮官交代のアルゼンチンとポルトガル

 しかし、世界最高の選手である2人が同じピッチでプレーすることは、ワールドカップ(W杯)・南アフリカ大会で良い結果を残せなかった強豪2カ国――アルゼンチン(ベスト8敗退)とポルトガル(ベスト16敗退)の現状を分析するのに重要な機会となる。両チーム共に監督が代わっており、チームや選手の顔触れも若干変わった。ポルトガルはウクライナとポーランドで共催されるユーロ(欧州選手権)2012、アルゼンチンは今年の7月に行われるコパ・アメリカ(南米選手権)という明確な目標もある。

 アルゼンチンはW杯・南アフリカ大会後にAFA(アルゼンチンサッカー協会)がディエゴ・マラドーナ前監督と契約を更新せず、セルヒオ・バティスタを後任に据えた。バティスタは代表監督の経験こそないが、年代別の代表チームを指導していたことで、選手と良好な関係を築いている。2008年の北京五輪では、メッシ、ファン・ロマン・リケルメ、セルヒオ・アグエロという異なる世代の選手たちを融合させて、金メダルを勝ち取った。こうした実績も評価され、暫定監督から昇格を果たした。

 W杯・南アフリカ大会でのポルトガルは決勝トーナメント1回戦でスペインとまみえ、激闘の末に0−1で敗れた。昨年9月に始まったユーロ予選では、ホームでグループ最弱と思われたキプロスに4−4と引き分け、ノルウェーにアウエーで0−1と敗北。FPF(ポルトガルサッカー連盟)はカルロス・ケイロスからパウロ・ベントへの監督交代を決断した。その後、デンマークとアイスランドに連勝したが、ポルトガルは勝ち点7で、首位ノルウェー(勝ち点9)の後塵を拝している。3位デンマークとも勝ち点1差だ。しかも、ノルウェー、デンマークはポルトガルよりも消化試合が1つ少ない。

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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