ボーン・イン・2010
■トーマス・ミュラー
2010年ワールドカップ(W杯)のトップスコアラーの1人で、最優秀ヤングプレーヤーとなったミュラーは、バイエルン・ミュンヘンのアカデミーで純粋培養された選手だ。攻撃的MFとして、ピッチ上で何をすべきかをすべて知っている。さらに守備面での貢献もできる。まだ21歳だが、昨季のチャンピオンズリーグ(CL)では決勝進出の原動力となっていた。今後、バイエルンとドイツ代表で栄光をつかむことが期待されている。例えばクリスティアーノ・ロナウドと比べてミュラーが劣っている点は……華がないことぐらいだろうか。
■ガレス・ベイル
インテルとの2試合だけでスターと認められた逸材。ベイルがトップスピードに入ると、周囲の選手はスローモーションで動いているようだ。たとえ相手がマイコンであっても同じだった。トッテナム所属のウェールズ人、プロデビューと代表デビューはともに16歳。そのプレースタイルとウェールズ人であることから、ライアン・ギグスと比較されている。マンチェスター・ユナイテッドが獲得に動いているが、マンUといえどもレアル・マドリーなどとともに長い列に並んでいる状況だ。
■ケビン=プリンス・ボアテング
ボアテングは2つの国籍を持つ。ベルリンに生まれ、13年間ヘルタ・ベルリンでプレーしている。U−21ドイツ代表でもプレーした。そのとき、ウリ・シュティーリケは「彼はファンタジー・フットボール(ゲーム)の世界から卒業する必要がある」と言ったのを気にしてかどうかは定かでないが、フル代表ではドイツではなくガーナを選択。W杯でもガーナ代表としてプレーし、その活躍からポーツマス、さらにミランへ移籍した(ミランへは期限付き移籍)。
■ヤン・エムビア
ドネネク監督が30人のリストに入れたが、W杯のメンバーには招集されなかった。ただ、エムビアにとってはそれがかえってラッキーだった。W杯のスキャンダルに加担しなかったおかげで、ブラン監督は容易に新しいチームのMFにエムビアを使うことができた。前の世代でいえばマケレレのような賢さを持っているが、まだ20歳である。両親がザイール出身という点もマケレレと同じだ。
■グレゴリ・ファン・デル・ビール
アヤックスのアカデミーは、どの時代にも優れた若手の源泉だが、ファン・デル・ビールも22歳でオランダ代表のサイドバックとしてW杯でプレーした。攻撃的な右サイドバックだが、ディフェンシブMFとしてもプレーできる。クライフ・アウオーズ(最優秀若手選手)を受賞し、おそらく来季はさらに大きなクラブでプレーしているだろう。
ロナウド、ロナウジーニョ、ロビーニョに続く次代のスター。ペレと同じようにサントスでエースとして君臨する。さらに最も才能に溢れた選手である(ペレと同じように)。だが、ペレと違ってときに悪ガキぶりを発揮する。9月の試合でPKを蹴ろうとしたら監督が許さなかった。ネイマールはそのままピッチを出て、監督を侮辱した。そのため、ネイマールは罰金を命じられ、チームから外されたが。ところが、最終的にクラブは監督に罰金を科して決着を図っている。
■ダビド・デ・ヘア
アトレティコ・マドリーの第三GKにすぎなかった。しかし、ロベルトの負傷で出番が回ってくると正GKの地位を奪取、ヨーロッパリーグ優勝に貢献した。昨年の5月にはデルボスケ監督がスペイン代表候補30人に選ぶ大出世。最終的に南アフリカ行きのメンバーには入らなかったものの、期待のGKである。
■香川真司
「この子が点を取ると言ったら、皆が笑っていたよ」と、夏の移籍時の話をするミカエル・ツォルクは、ボルシア・ドルトムントのディレクターだ。セレッソ大阪からドイツに到着すると、香川はリーグ戦17試合で8ゴールをゲットしてセンセーションを巻き起こしている。
■エジソン・カバーニ
イタリア系ウルグアイ人のカバニはズラタン・イブラヒモビッチと比較されている。長身でボールコントロールに優れ、左右の足でシュートを放つ。小さなスペースでも大きなスペースでも強く、ヘディングも武器だ。PKスペシャリストでもある。ダヌービオからパレルモへやってきた“闘牛士”は、いまではナポリのアイドルだ。W杯でのウルグアイの躍進にも一役買った。
■アンディ・キャロル
191センチの長身、ニューカッスルのアカデミー出身でプレストン・ノースエンドに貸し出されていた。プレミアのトップ4からオファーを受けながら、“マグパイズ”(ニューカッスルの愛称)と契約した。8月の第2節でアストン・ビラを相手にハットトリックを演じると、さっそくイングランド代表に招集された。11月のフランス戦では、出来の良くなかったイングランドの中では最もよいプレーを見せた。
<了>
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ