ボーン・イン・2010

 2010年には新しい注目の選手が“誕生”した。2011年も彼らの動向に引き続き注目すべきだろう。10年“生まれ”の選手をリストアップしてみよう。

■トーマス・ミュラー

 2010年ワールドカップ(W杯)のトップスコアラーの1人で、最優秀ヤングプレーヤーとなったミュラーは、バイエルン・ミュンヘンのアカデミーで純粋培養された選手だ。攻撃的MFとして、ピッチ上で何をすべきかをすべて知っている。さらに守備面での貢献もできる。まだ21歳だが、昨季のチャンピオンズリーグ(CL)では決勝進出の原動力となっていた。今後、バイエルンとドイツ代表で栄光をつかむことが期待されている。例えばクリスティアーノ・ロナウドと比べてミュラーが劣っている点は……華がないことぐらいだろうか。

■ガレス・ベイル

 インテルとの2試合だけでスターと認められた逸材。ベイルがトップスピードに入ると、周囲の選手はスローモーションで動いているようだ。たとえ相手がマイコンであっても同じだった。トッテナム所属のウェールズ人、プロデビューと代表デビューはともに16歳。そのプレースタイルとウェールズ人であることから、ライアン・ギグスと比較されている。マンチェスター・ユナイテッドが獲得に動いているが、マンUといえどもレアル・マドリーなどとともに長い列に並んでいる状況だ。

■ケビン=プリンス・ボアテング

 ボアテングは2つの国籍を持つ。ベルリンに生まれ、13年間ヘルタ・ベルリンでプレーしている。U−21ドイツ代表でもプレーした。そのとき、ウリ・シュティーリケは「彼はファンタジー・フットボール(ゲーム)の世界から卒業する必要がある」と言ったのを気にしてかどうかは定かでないが、フル代表ではドイツではなくガーナを選択。W杯でもガーナ代表としてプレーし、その活躍からポーツマス、さらにミランへ移籍した(ミランへは期限付き移籍)。

■ヤン・エムビア

 ドネネク監督が30人のリストに入れたが、W杯のメンバーには招集されなかった。ただ、エムビアにとってはそれがかえってラッキーだった。W杯のスキャンダルに加担しなかったおかげで、ブラン監督は容易に新しいチームのMFにエムビアを使うことができた。前の世代でいえばマケレレのような賢さを持っているが、まだ20歳である。両親がザイール出身という点もマケレレと同じだ。

■グレゴリ・ファン・デル・ビール

 アヤックスのアカデミーは、どの時代にも優れた若手の源泉だが、ファン・デル・ビールも22歳でオランダ代表のサイドバックとしてW杯でプレーした。攻撃的な右サイドバックだが、ディフェンシブMFとしてもプレーできる。クライフ・アウオーズ(最優秀若手選手)を受賞し、おそらく来季はさらに大きなクラブでプレーしているだろう。
■ネイマール

 ロナウド、ロナウジーニョ、ロビーニョに続く次代のスター。ペレと同じようにサントスでエースとして君臨する。さらに最も才能に溢れた選手である(ペレと同じように)。だが、ペレと違ってときに悪ガキぶりを発揮する。9月の試合でPKを蹴ろうとしたら監督が許さなかった。ネイマールはそのままピッチを出て、監督を侮辱した。そのため、ネイマールは罰金を命じられ、チームから外されたが。ところが、最終的にクラブは監督に罰金を科して決着を図っている。

■ダビド・デ・ヘア

 アトレティコ・マドリーの第三GKにすぎなかった。しかし、ロベルトの負傷で出番が回ってくると正GKの地位を奪取、ヨーロッパリーグ優勝に貢献した。昨年の5月にはデルボスケ監督がスペイン代表候補30人に選ぶ大出世。最終的に南アフリカ行きのメンバーには入らなかったものの、期待のGKである。

■香川真司

「この子が点を取ると言ったら、皆が笑っていたよ」と、夏の移籍時の話をするミカエル・ツォルクは、ボルシア・ドルトムントのディレクターだ。セレッソ大阪からドイツに到着すると、香川はリーグ戦17試合で8ゴールをゲットしてセンセーションを巻き起こしている。

■エジソン・カバーニ

 イタリア系ウルグアイ人のカバニはズラタン・イブラヒモビッチと比較されている。長身でボールコントロールに優れ、左右の足でシュートを放つ。小さなスペースでも大きなスペースでも強く、ヘディングも武器だ。PKスペシャリストでもある。ダヌービオからパレルモへやってきた“闘牛士”は、いまではナポリのアイドルだ。W杯でのウルグアイの躍進にも一役買った。

■アンディ・キャロル

 191センチの長身、ニューカッスルのアカデミー出身でプレストン・ノースエンドに貸し出されていた。プレミアのトップ4からオファーを受けながら、“マグパイズ”(ニューカッスルの愛称)と契約した。8月の第2節でアストン・ビラを相手にハットトリックを演じると、さっそくイングランド代表に招集された。11月のフランス戦では、出来の良くなかったイングランドの中では最もよいプレーを見せた。

<了>
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著者プロフィール

1965年10月20日生まれ。1992年よりスポーツジャーナリズムの世界に入り、主に記者としてフランスの雑誌やインターネットサイトに寄稿している。フランスのサイト『www.sporever.fr』と『www.football365.fr』の編集長も務める。98年フランスワールドカップ中には、イスラエルのラジオ番組『ラジオ99』に携わった。イタリア・セリエA専門誌『Il Guerin Sportivo』をはじめ、海外の雑誌にも数多く寄稿。97年より『ストライカー』、『サッカーダイジェスト』、『サッカー批評』、『Number』といった日本の雑誌にも執筆している。ボクシングへの造詣も深い。携帯版スポーツナビでも連載中

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