ヴィクトワール2cm差の劇勝! デムーロ「夢かなった」=有馬記念

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ヴィクトワールピサが2センチ差の激戦を制し有馬記念V、2010年の最後を飾った 【スポーツナビ】

 JRAの1年を締めくくるグランプリレース、第55回GI有馬記念が26日、中山競馬場2500メートル芝で開催され、ミルコ・デムーロ騎乗の2番人気ヴィクトワールピサ(牡3=角居厩舎、父ネオユニヴァース)が優勝。向こう正面から果敢に仕掛けていくと、直線早め先頭の積極策で外から猛追するクリストフ・スミヨン騎乗の断然1番人気ブエナビスタ(牝4=松田博厩舎)をハナ差(約2センチ)封じ込める劇勝で2010年の最後を飾った。良馬場の勝ちタイムは2分32秒6。

 ヴィクトワールピサは今年4月18日の牡馬クラシック第一冠・GI皐月賞以来となるGI2勝目。騎乗したデムーロはグランプリボスで制した先週のGI朝日杯フューチュリティステークスに続く2週連続のGI制覇となった。

 一方、ハナ差の2着に敗れたブエナビスタはGI6勝目にあと一歩届かず。さらにクビ差の3着にはクレイグ・ウィリアムズ騎乗の14番人気トゥザグローリー(牡3=池江郎厩舎)が入った。

デムーロ男泣き「ネオがくれたクリスマスプレゼント」

ダービー、JCに続き、有馬記念も手にしたデムーロは「夢がかなった」と男泣き 【スポーツナビ】

 今年の有馬もまた、競馬史に残る名勝負で幕を閉じた。
 約6分間の写真判定の末、1着掲示板に馬番「1」が点ると、対前年比104.2%の大入りとなった12万観衆から津波のような大歓声が沸き起こった。
 その差、およそ2センチ。歴史に残る死闘とうたわれているウオッカvs.ダイワスカーレットの08年GI天皇賞・秋と同じ着差。勝者となったのは、くしくもそのウオッカと同じ角居勝彦厩舎の後輩、ヴィクトワールピサだった。

 「まだ信じられない気持ちでいっぱい。とてもエキサイティングです。日本ダービー(03年ネオユニヴァース)、ジャパンカップ(スクリーンヒーロー)と勝つことができて、日本のビッグレースではあとは有馬記念だと思っていたので、本当に夢がかないました」
 大きな瞳に涙をためて、感無量の表情を浮かべたミルコ・デムーロ。かつての最愛のパートナー、ネオユニヴァースの子で日本最大級のビッグレースを勝てた喜びを「ネオユニヴァースがクリスマスプレゼントをくれた」と表現すると、日本の競馬ファンに愛される最強の助っ人ジョッキーは先週のGI朝日杯FSに続いてまたしても、そして2010年の最後を飾るにふさわしい好騎乗を魅せてくれた。

魅せた好騎乗! 早め積極策で女王を撃墜

ヴィクトワールピサ(左)が早め積極策の好騎乗に導かれ、女王ブエナビスタ(右)を撃墜 【スポーツナビ】

 レースは「スタートがすごく良かった」と、最内1番枠からポンと好発を切り、1周目のスタンド前は先頭から4番手のポジション。逃げたトーセンジョーダンが作るペースは特別速くはなかったが、折り合いはガッチリ。そのまま脚を溜めていくものかと思われたが、バックストレッチを半ばも過ぎると、ここでデムーロが一気に打って出る。

 「後方から他馬がやってくるのが見えていたし、包まれてしまうのを恐れて早めに動かしていきました」

 先頭もうかがう勢いで2番手まで押し上げ、最後の直線に入ると一気にエンジン全開。「角居先生から『早めに動かしていってほしい』という指示があったのでその通りに」と、後方のライバル馬より一歩先んじてトップに躍り出る。そして、自慢の加速力でいったんは完全に突き抜け、そのまま押し切り態勢へ――しかし、それを簡単に許さなかったのはやはり、五冠女王ブエナビスタだった。

 残り100メートルを切ってからのブエナビスタの爆発力は、さすが現役最強馬。思わず「コワカッタ」と日本語で振り返った女王の猛追だったが、デムーロもヴィクトワールピサに最後のゲキ。渾身のプッシュで脚をもたせ、2センチ差しのぎきったところが栄光のゴールだった。

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