2012年はユーロと五輪に出たい=スペイン代表FWフアン・マヌエル・マタ
多くの主力が去ったバレンシアを、マタ(左)は力強くけん引する 【Getty Images】
苦しんだ末に獲得した国王杯
あれは必要な売却だった。クラブは経済状況が悪いから。でも代わりに良い選手たちを獲得できた。チームは競争力を保てていると思うよ。
――ビジャ&マタのコンビが見られないのは残念だ。2人のコンビは本当に素晴らしかったからね
彼のそばでプレーできるのは誇りだった。偉大な選手だし、僕らはお互いをよく理解しあっていた。でも今もチームには素晴らしいFWがいる。彼らは多くのゴールを取ってくれるはずだよ。
――多くの主力が抜けたにもかかわらず、今季バレンシアは素晴らしいスタートを切った。好調のカギは何だろう?
監督が変わらず、チームの哲学とプレースタイルを継続できていること。このグループを信じ、現在のチームの可能性を信じてプレーしていることが、良いパフォーマンスにつながっているんだと思う。
――メンバーが変わったことでサッカーに変化はあった?
哲学とプレースタイルは変わっていないけど、戦術的には2トップでプレーすることが増えた。昨季はほぼ常に1トップだったからね。2人(ソルダードとアドゥリス)は良いストライカーで、お互いをよく理解し合い、チームのために献身的にプレーしている。
――自分自身、チーム内での役割、重要性に変化があったのでは?
選手は年齢を重ねるごとに、より大きな責任を持ってプレーすることを望むものさ。でも僕がやることは、これまでと変わらない。毎年成長できるよう努力し、チームに貢献するだけだ。
――でもエースとしての自覚が芽生えてきたように見える。以前より10番が似合っているし
そうかな(笑)、10番は好きなんだ。昨シーズンに受け継いだんだけど、選手にとっては素敵な番号だよね。
――バレンシア加入当初は、なかなかプレー機会がなかったけど、その後就任したクーマン監督の下で定位置をつかんだ。当時、クラブとチームが最悪の状況にあった中で、君はバレンシア唯一の希望だった
そうだね。1年目は難しい時期だった。キケ監督がすぐに解任され、その後は監督や会長が何度も変わってチームが混乱した。でもクーマンが来てから継続してプレーできるようになり、最終的に国王杯で優勝することができた。
――その一方でクーマンは、アルベルダ、カニサレス、アングロら中心選手をチームから切り離す不可解な決定をした。そのような扱いを受けるチームメートを見るのはどんな気分だった?
奇妙な状況だったよね。彼らは長年チームに在籍する、重要な選手たちだったから。でもそれは監督の決断であり、僕らは受け入れるしかなかった。でもあのころは、サッカー以外の問題がチームに悪影響を及ぼしていたのは確かだ。
――苦しんだだけに国王杯優勝の喜びは大きかったのでは?
苦しんだシーズンの中で救われた瞬間だった。リーグはうまくいかず、降格圏近くまで落ちたこともあった。そんなシーズンが、国王杯というめったに取れないタイトルの獲得で救われたんだ。
――翌年には、会長も変わってクラブはどん底の状況から抜け出し、エメリ監督が就任した。彼はチームにどんな影響をもたらしたんだろう?
エメリが来たころは、会長が状況を落ち着かせ、チーム、クラブともに通常の状態に戻って再スタートするところだった。それがチーム作りにプラスに働いたと思う。その後、エメリはサッカーにおける自分のコンセプト、信念をチームに植え付けた。何より厳しさを要求し、チームを構成する選手全員が重要であると感じさせてくれた。
――エメリ監督が目指す、バレンシアのサッカーとは?
僕らが目指すのはボール支配。でも、前線にスピードある選手がそろっているので、速攻も大きな武器となっている。優れたウインガーがサイドを崩してクロスを上げ、点で合わせるのが得意な2人のFWがフィニッシュするんだ。