パト「ポルト・アレグレの『インテル』を応援する」=4年前のスターがクラブW杯を振り返る

弱冠17歳だったパトは、素晴らしい活躍でチームの世界一に貢献した 【Getty Images】

 2006年のクラブワールドカップ(W杯)で国際舞台にデビューし、一躍スターダムを駆け上がったパト。その大会での活躍がきっかけとなり、欧州の名門ミランへの移籍を果たし、ブラジル代表にも名を連ねるようになった。
 4年を経て現在は世界的な選手に成長したパトだが、当時はどんな思いでクラブW杯に臨んでいたのか。準決勝で決めたゴール、そしていまではチームメートとなったロナウジーニョとの対戦など、世界一に輝いた瞬間を振り返ってもらった。

クラブW杯の1カ月前にはまだデビューさえしていなかった

――君はインテルナシオナル時代の2006年に、若くしてクラブW杯のタイトルを勝ち取ったね。当時の思い出はあるかい?

 僕にとって魔法のような2カ月だったから、クラブW杯のことはよく覚えているよ。僕はクラブW杯の1カ月前にはまだトップチームにデビューさえしていなかったんだ。インテルナシオナルでのデビュー戦はその年の11月26日、サンパウロで行われたブラジル全国選手権のパルメイラス戦で、僕は17歳だった。チームが4−1で勝っただけじゃなく、僕自身もゴールといくつかのアシストを決めることができたんだ。その瞬間、すべての観衆、テレビカメラやマイクが僕に向けられ、まるで夢のようだったな。
 それからすぐ、クラブW杯が開催される日本へ出発し、数日間プレーした後、フランク・ライカールト監督率いるバルセロナと対戦したんだ。彼らはその年、パリで行われたチャンピオンズリーグ決勝でアーセナルを破って、欧州王者になっていた。だから、僕がそのバルセロナを目の前にしていることが信じられなかったし、夢のようだったな。そして最終的には世界チャンピオンになり、ゴールも決めることができた(注:パトは準決勝のアルアハリ戦で先制点を決めた)。これ以上の何を求められる? 僕はその瞬間、世界で一番幸せな人間になったんだ。

――当時をどのように思い出す?

 時の流れは感じないな。僕はデビューして以来、ほぼ素晴らしい時間を過ごしているからね。最終的に、インテルナシオナルがコパ・リベルタドーレスに優勝できたのはポルト・アレグレ(インテルナシオナルの本拠地)のファンのおかげだよ。ライバルであるグレミオはすでにコパ・リベルタドーレスを2回制していた。だから、僕は出場できなかったけど、とにかく勝つことがすごく重要だったんだ。

 大会に優勝した後、インテルナシオナルはチームのスター選手の何人かを売却した。特に大きかったのは、FWのラファエル・ソビスを手放したことだ(スペインのベティスへ移籍)。彼はある意味、チームのアイドルだった。
 僕はその年のコパ・リベルタドーレスではプレーしていなかったけれど、さっきも言ったようにパルメイラス戦で結果を出してあっという間にスターとして見られるようになった。そして、数カ月前までは雲の上の人だったフェルナンドンやインジオといったチームメートたちと日本へ旅立ち、クラブW杯の舞台に立った。信じられなかったね。

――でも、クラブW杯でインテルナシオナルの出だしは良くなかった……

 アベル・ブラガ監督はアル・アハリ戦の前にリラックスするようしきりに話したけれど、僕らは南米のチームが楽に勝てるという前例に少しばかり油断があったのかもしれないね。実際はすごく苦しんだ。最初に、フェルナンドンのパスを受けた僕がゴールを決めた。彼らはぎりぎりのところでいったんはボールを跳ね返したけど、そのこぼれ球が僕のところに来て、ゴール左隅にシュートを決めたんだ。
 でも驚いたことに、彼らは同点に追いついた。僕らはもう一度始めからやり直しになったんだけど、ラッキーなことにルイス・アドリアーノが勝ち越し点を決めてくれた。おかげで、バルセロナとの素晴らしい決勝にたどり着くことができたんだ。

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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