星野監督も期待するドラ1位左腕=八戸大・塩見貴洋
変化球と制球力に高い評価
一躍脚光を浴びたのは、ことし6月の全日本大学野球選手権大会だ。2回戦で佛教大の大野雄大投手(中日1位/4年=京都外大西高)との左腕対決に投げ勝ったからだ。最速151キロの大野に対し、塩見は常時140キロ台前半のストレートとカーブ、チェンジアップ、カットボールなどを操り5安打完封勝利。生命線は100〜110キロ台のカーブで、これを武器にリーグ戦から同大会準決勝まで55回3分の1連続無失点を続けた。初めての全国舞台で、塩見は『ドラフト候補』から『上位候補』左腕に名乗りを挙げた。
高校時代は四国で名の知れたドクターK
大学入学後、最初の2年あまりを腰痛の治療にあてた。だが、ことしは悩んだ時間を取り戻すかのような巻き返しぶりだった。6月の東北地区選手権の東北学院大戦では完全試合(7回参考)、秋の東北地区代表決定戦の東北福祉大戦ではノーヒットノーランを達成した。「神宮は行きたいが、まずは八戸大。打倒・塩見です」。こう話していたのは、福祉大の主将で同期となる阿部俊人内野手(東北楽天3位/4年=花咲徳栄高)だった。
学生最後の大会はサヨナラ負け
「観客の見る目も違っていたと思う。ドラフト1位だから抑えないといけないというのがあった」
プレッシャーが体を包んだ。ストレートが走らない。体が前へ前へ投げ急ぎ、中盤以降は変化球主体のピッチングになった。関西国際大・鈴木英之監督も「調子が悪そうだった。もっとストレートで来ると思っていたが……」と不調を感じ取っていた。打ちとった当たりが内野安打やエラーにもなった。辛抱強く投げ続けたが、自身初の延長戦は12回で力尽きた。
それでも塩見らしさは垣間見れた。スリーボールが7度もあったが、塩見が最も嫌う四球は1つだけ。
「1球の重さが分かった。プロは厳しい世界。今後このようなことがないように、もっとコントロールを意識して精一杯投げたいです」
来季の先発ローテは、岩隈久志(残留が確定の場合)、田中将大、永井怜までが当確ラインと予想する。星野仙一監督も左腕不足を懸念しており、塩見への期待も大きい。ドラ1の殻を破って、大きなチャンスをつかみたい。
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