日大三が初優勝! 計り知れない経験値を得て春夏へ=明治神宮大会高校の部総括

松倉雄太

優勝の日大三・吉永「失点しない投手を目指したい」

 第41回明治神宮大会高校の部は、11月13日から18日まで神宮球場で行われ、日大三高(東京)が初優勝を飾った。

 日大三高を引っ張ったのはエースの吉永健太朗(2年)。3試合全てを完投し、防御率は1.00。最速147キロの直球に、カーブ、チェンジアップ、タテのスライダーを組み合わせて、抜群の安定感を見せた。182センチ77キロの立派な体格は高校2年生秋としては十分すぎる素質。制球も安定しており、四死球は27イニングでわずか5つだった。だが本人は全試合で失点したことに納得がいかない様子。「失点をしない投手を目指したい」と冬場の課題を口にしていた。

 この吉永を支えたのが打線。初戦の北海高(北海道)戦では1番の高山俊(2年)が先制2ラン。準決勝の浦和学院高(関東・埼玉)戦では1点を先制した直後に7番・菅沼賢一(2年)の3ラン、そして決勝では追加点がほしい4回に4番・横尾俊建(2年)に一発が飛び出すなど、3本塁打全てが相手にダメージを大きく残す一発になった。3試合通じてのチーム打率は2割8分4厘。高山、横尾ら今春の選抜準優勝メンバーが健在だが、少し粗っぽい攻撃もあった。小倉全由監督は「もっとしつこさを身につけたい」と緻密(ちみつ)に得点を積み上げる打線への変革をこの冬の課題に挙げた。

鹿児島実・野田は初戦の入り方が課題

 惜しくも準優勝に終わった鹿児島実高(九州・鹿児島)。こちらもエース・野田昇吾(2年)が全3試合に先発しチームの大黒柱であることを印象づけた。初戦の明徳義塾高(四国・高知)戦が1失点、準決勝の大垣日大高(東海・岐阜)戦が2失点、決勝が4失点と試合毎に失点が増えたが、それに反比例して、投球の内容は徐々に良くなっていった。その象徴たるデータが投球数である。初戦は168球、準決勝は145球、決勝は112球(7回3分の1)と、球数は少なくなっていった。野田は九州大会初戦(熊本国府高)でも177球を投げて10失点している。宮下正一監督は「波が激しい。一発目に強い投手にならないと」と大会の初戦の入り方が大きな課題として残ったことを挙げた。さらにはセットポジションも課題。特に走者が一塁の時と、二塁や三塁に背負った時に内容がガラッと異なっていた。これは投球フォームではなく、無意識のうちに走者を気にしすぎていた感じもある。常に走者を一塁に背負うことを意識して練習に取り組んでもらいたい。

 打線では、1番を打つ平山大海(2年)は、明徳義塾戦高では警戒されながらも、2盗塁を決めた走塁センスはインパクト十分だった。

1/2ページ

著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント