遠いようで迫り来るコパ・アメリカ

1993年以来の無冠

コパ・アメリカ2011の組み合わせ抽選会が行われ、ホスト国アルゼンチンは日本などと同組に 【写真:アフロ】

 2011年7月1日、アルゼンチン代表は母国ラプラタのスタジアムにボリビア代表を迎える。コパ・アメリカ(南米選手権)優勝という夢を地元のファンと分かち合うための戦いが始まるのだ。彼らは1993年のエクアドル大会で連覇を果たしたのを最後に、南米王者のタイトルから遠ざかっている。ライバルのブラジルが過去5大会で4度の優勝を果たしているのに対し、アルゼンチンは18年も無冠である。

 91年大会、93年大会でアルゼンチンの主力として活躍したガブリエル・バティストゥータは現在、正式に代表監督に就任したセルヒオ・バティスタのテクニカル・スタッフ入りがささやかれる。90年代のアルゼンチンを代表するストライカーは93年、メキシコとのコパ・アメリカ決勝で2ゴールを挙げ、母国の優勝に貢献した。

 この時、代表を率いていたのがアルフィオ・バシーレである。91年から94年ワールドカップ(W杯)・米国大会まで監督を務め、この間に33試合無敗記録も樹立した。だが、最後はディエゴ・マラドーナがドーピング違反で大会から追放されるなどチームが崩壊し、ベスト16で敗退。苦いエンディングとなった。その後、2006年〜08年にも再び代表の指揮を執っている。

 よって、アルゼンチンのコパ・アメリカ優勝は多くの人々の悲願なのだ。ましてや、自国開催は87年大会以来、実に25年ぶりである。アルゼンチンは前年にW杯メキシコ大会を制したが、この時は準決勝でウルグアイ、3位決定戦でもコロンビア屈して4位に終わった。マラドーナやクラウディオ・カニージャを擁したアルゼンチンでさえ、カルロス・バルデラマら黄金世代のコロンビアにはかなわなかったのだ。母国で栄冠を勝ち取った記憶は、78年W杯にまでさまのぼらなければならない。

“ドロー運”に恵まれた開催国アルゼンチン

 もちろん、アルゼンチンは南米屈指の強豪国であり、これまでのコパ・アメリカのタイトル獲得数は、ウルグアイと並んで最多の14回である。今回は地元の利もあり、優勝候補の筆頭だろう。グループリーグはコロンビア、ボリビア、招待国である日本と同じA組となった。01年大会の覇者コロンビアはいつでも強敵であり、日本には10月の親善試合で初めて敗北を喫した。油断は禁物だが、開催国にはつきものの“ドロー運”に恵まれたと言える。

 グループBには3連覇を狙うブラジル、パラグアイ、エクアドル、ベネズエラが組み分けられ、より厳しい組となった。パラグアイは2強に続く第二グループの筆頭であり、エクアドルと“ビノティント”(ワインレッド)ことベネズエラも成長著しい国である。専門家はB組を今大会の“死のグループ”と分析し、勝ち抜けるのはブラジルとパラグアイと見ている。その一方で、エクアドルとベネズエラもサプライズを起こすかもしれない。

 最後に、グループCにはウルグアイ、チリ、招待国メキシコ、ペルーが入った。こちらもB組同様、難しいグループと言えるだろう。ウルグアイとメキシコはW杯・南アフリカ大会のグループリーグで対戦しており、この時は1−0でウルグアイが勝利した。この2カ国が勝ち抜き有力だが、チリも台風の目になる可能性を秘めている。先のW杯ではブラジルに敗れたものの16強入りし、アルゼンチン人監督マルセロ・ビエルサの手腕が高く評価された。だが、同国の協会会長が交代したことで、ビエルサは辞任することが濃厚である。また、ペルーは近年、結果を出していないが、ウルグアイ人の有能な指揮官セルヒオ・マルカリアンが就任したことで期待が持てる。

1/2ページ

著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

スポーツナビからのお知らせ

編集部ピックアップ

女子ツアー3週連続で競技短縮へ 悪天候で…

ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント