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巻誠一郎、30歳からの伸びしろを感じて
ロシアでの挑戦を大いに語る 後編
ロシアの大きな国土には、さまざまな地域があり、時差とも戦わなければならない
ロシアの大きな国土には、さまざまな地域があり、時差とも戦わなければならない【Photo:photoXpress/アフロ】

 今回のロシア取材では2つのゲームを取材した。1つが10月27日のディナモ・モスクワ対CSKAモスクワ戦、もう1つが31日のトム・トムスク対アムカル・ペルミ戦だった。

 前者は優れた外国人選手を擁する両チームの激突とあって、華麗なアタッキングフットボールが繰り広げられた。本田圭佑が「ロシアはミニチュアプレミアリーグみたい」と言うのもうなずける内容だった。

 けれども、後者の方はフィジカルを前面に押し出した守備的なサッカーに終始した。ディビジョン1(2部リーグ)降格危機にひんする下位同士の争いだけに、つぶし合いの色合いが濃くなってしまうのだろう。

 巻もそんなロシアの現実を目の当たりにし、この3カ月間で自分のプレーに工夫を凝らしている。ロシアの難しさとは一体どんなところなのか? そして古巣・ジェフ千葉や日本代表への思いはどんなものなのか? さらにインタビューを続けた。

ロシアの地方のチームは泥臭いサッカーが多い

――ロシアリーグ全体のレベルや特徴をどう感じましたか


 UEFAチャンピオンズリーグに出ているルビン・カザンやスパルタク・モスクワ、ヨーロッパリーグのゼニト・サンクトペテルブルクやCSKA・モスクワなど4〜5チーム以外はつぶし合っている感じ。その下はどこが上に行ってもおかしくない。そういう意味では日本に似てます。ゼニトともやりましたけど、手も足も出ないってことはないと感じました。


――本田圭佑選手は「ミニチュアプレミアリーグみたいだ」と話をしてました


 CSKAは特にそういう展開が多い。強くて速い外国人選手が前にいるから、CSKAとやるチームはそうなりがちですね。ルビンは速いサッカー、ゼニトはスペクタクルで攻守にわたって規律よく戦ってます。いい外国人選手がいるのも大きいですね。ディナモ・モスクワもクラニーとかボロニンとかタレント力が頭抜けていますけど、ダメな時はダメ。だから上位に浮上できない思います。ロコモティフ・モスクワもそれに近い印象。


 地方のチームは泥臭いサッカーが多い気がしますね。テレク・グロズヌイとかも頑張ってつなごうとしていますけど。中位から下の戦い方はフィジカルを前面に出したり、ガチっと守ってという展開になりますね。悪く言えばグダグダ、よく言えばしっかりしたブロックで守って硬い戦い方をしたがるチームが多い。ウチのチームは特にそうですね。

紛争地域、大きい国土による時差

――地域性とか移動の難しさなどは


 テレク・グロズヌイのあるチェチェンは危険みたいですね。マハチカラも行きましたけど怖かった。危険な町で、武装した人が多いということだから。問題なかったですけど。


 移動も結構大変ですね。ペルミからトムスクへは3時間ちょっとで、時差も1時間あります。ロシアの一番遠いところで−3時間ってところもある。そうなると寝る時間も変わるし、試合が終わって帰ると明け方ということもある。夏場はそういうのが多かった。それを含めてロシアなのかなと思います。

 僕の場合、代表にいたころは週の半ばに海外へ行って試合をやっていましたし、いろいろ経験しているんで全然平気ですね。大変は大変ですけど、自分の中で納得できる範囲かなと。


――逆にロシアのいい面があるとすれば


 セカンドチームも一緒に移動して、前日に公式戦と同じ相手と試合をやるのはいい点ですね。全員一緒に行動するんで、セカンドチームで良かった選手が翌日ベンチに入ったりできる。距離の問題で練習試合が組めないから、このシステムが設けられているのかもしれないけど、いいことですね。ただ、日本の場合は金額的に大変かな。全く同じことができるわけじゃないでしょうね。


――ロシアは来季、変則的なシーズンに変更すると聞いています


 2012年から秋春制に移行するので、来季は2011年春から1年半やるんですよね。僕らは今、降格危機に瀕しているんで、来年のことはまだ考えられないんですけど。僕自身、契約は2012年までですから、移籍しなければこのままいるってことになりますけど。まあ、僕は割り切って来てますし、悲観していません。目的意識と目標をハッキリ持っていれば大丈夫。日本人がパッと来て活躍できるかどうかは難しいリーグだけど、来る価値はあると思いますよ。J2でずっとベンチを暖めるよりは、チャンスもあるしね。

元川悦子
元川悦子

1967年長野県松本市生まれ。千葉大学法経学部卒業後、業界紙、夕刊紙記者を経て、94年からフリーに。Jリーグ、日本代表、育成年代、海外まで幅広くフォロー。特に日本代表は非公開練習でもせっせと通って選手のコメントを取り、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは94年アメリカ大会から5回連続で現地へ赴いた。著書に「U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日」(小学館刊)、「蹴音」(主婦の友社)、「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年」(スキージャーナル)、「『いじらない』育て方 親とコーチが語る遠藤保仁」(日本放送出版協会)、「僕らがサッカーボーイズだった頃』(カンゼン刊)、「全国制覇12回より大切な清商サッカー部の教え」(ぱる出版)、「日本初の韓国代表フィジカルコーチ 池田誠剛の生きざま 日本人として韓国代表で戦う理由 」(カンゼン)など。「勝利の街に響け凱歌―松本山雅という奇跡のクラブ 」を15年4月に汐文社から上梓した

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