斎藤佑樹は“持っている”のか――価値を証明する大一番へ=東京六大学野球・優勝決定戦見どころ

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50年ぶりの“早慶優勝決定戦”

 優勝の行方は50年ぶりの大一番に持ち越された。斎藤佑樹(4年=早稲田実高)、大石達也(4年=福岡大大濠高)、福井優也(4年=済美高)と10月28日のプロ野球ドラフト会議で1位指名された3投手を擁する早大は、東京六大学秋季リーグの優勝を目前にしていた。最終カードの慶大戦は勝ち点を奪えなくとも、1勝すればその時点で優勝が決まるという圧倒的有利な条件で迎えた。しかし、31日の試合で斎藤が先頭打者本塁打を許すなど2失点で敗れると、1日の試合では福井、大石が打ち込まれて連敗。“ドラ1トリオ”が全員被弾する緊急事態で、早慶による50年ぶりの優勝決定戦に持ち込まれた。

 優勝決定戦は神宮球場で3日の13時に試合開始。祝日に行われるこの大一番には、3万3000人の観衆を集めた31日以上に注目を集めるだろう。

早大・斎藤に残された最大のチャンス

 早大で先発が予想される斎藤佑樹にとっては、大学生活のベストパフォーマンスを見せる最大のチャンスがやってきたと言える。早稲田実高時代には駒大苫小牧高・田中将大(現・東北楽天)に、全国の注目を集めた甲子園で投げ勝って、一躍ヒーローとなった。早大入学後も1年時から活躍し、神宮球場を沸かせてきたが、4年秋のシーズンは7試合に登板して4勝3敗・防御率3.07と不調。鮮烈な高校時代に比べて、早大ではやや地味な印象を残している。
 それでも、大学野球でもっとも人気を集める東京六大学の優勝争いが、50年ぶりの早慶優勝決定戦となるドラマチックな展開となった。この試合に主将として臨んで、チームを勝利に導けば、斎藤が“持っている”投手であることを再び証明できるはずだ。重圧のかかる舞台でこそ、輝きを放ってきた斎藤のピッチングから目が離せない。

 ドラフトで6球団の1位指名を受けた大石、広島に1位指名された福井も、優勝決定戦では登板の機会がありそうだ。勝てば優勝、負ければシーズン終了となるため、“ドラ1トリオ”は総動員されるだろう。4年生投手の意地を見せたい。打線では秋季リーグで首位打者に輝いた土生翔平(3年=広陵高)、打率リーグ2位の山田敏貴(4年=早稲田実高)の奮起に期待がかかる。

慶大を支える“斎藤の天敵”と“152キロ右腕”

 慶大は左右の2年生コンビで逆転優勝を狙う。先発が予想される左腕の竹内大助(2年=中京大中京高)は春季リーグで6勝を挙げてMVP。秋季リーグでは調子をやや落としたが、9試合で3勝2敗・防御率2.73の成績を残している。ストレートは140キロ前後だが、低めに集める制球力が光っていて、31日の試合では7回無失点と好投した。早大・斎藤との直接対決では3連勝中と、斎藤にとっては“天敵”とも言える。
 右腕エースの福谷浩司(2年=横須賀高)は最速152キロを誇る。1日は1失点完投と早大打線を抑え、打席では大石から特大の本塁打を放った。

 打線では7月の世界大学野球選手権で日本代表に選ばれた4番の伊藤隼太(3年=中京大中京高)が中心。秋季リーグでは14試合で3本塁打、11打点の成績を残した。打率でリーグ3位の好成績を残し、31日の試合で斎藤から先頭打者本塁打を放った渕上仁(4年=慶応高)、1日の試合で福井から3ランを放った山崎錬(2年=慶応高)も好調だ。
 プロ野球で活躍した江藤省三監督の思い切りのいいさい配や、鍛え上げられた守備も慶大の魅力。春季リーグ最終戦では6対4と早大を破って優勝を決めた。50年ぶりとなる大一番でも、その再現を狙っている。

<了>
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