世界クラスだブエナビスタ、最強証明のGI・V5!=天皇賞・秋

スポーツナビ

ブエナビスタが『最強』を証明するGI5勝目、父スペシャルウィークに続く父娘天皇賞・秋制覇でもある 【スポーツナビ】

 JRA秋の大一番、第142回GI天皇賞・秋が31日、東京競馬場2000メートル芝で開催され、クリストフ・スミヨン騎乗の1番人気ブエナビスタ(牝4=松田博厩舎、父スペシャルウィーク)が優勝。中団イン追走から最後の直線で持ったまま抜け出すと、そのまま後続を寄せ付けずに圧巻のGI・V5を達成した。やや重馬場の勝ちタイムは1分58秒2。

 同馬は08年GI阪神ジュベナイルフィリーズ、09年GI桜花賞、09年GIオークス、10年GIヴィクトリアマイルに続きJRA・GI5勝目。これはウオッカ(7勝)、メジロドーベル(5勝)に続き史上3頭目となる。さらに、同馬の父スペシャルウィーク(99年)に続き天皇賞・秋の父仔制覇は史上2組目(春秋を通じては史上6組目)、父娘制覇は史上初の快挙となる。
 一方、騎乗したスミヨンは7度目の挑戦でJRA・GI初制覇。同馬を管理する松田博資調教師は春秋通じて10度目の挑戦でうれしい天皇賞初V。JRA・GIは通算14勝目となった。

 なお、2馬身差の2着には直線外から追い込んだ安藤勝己騎乗の4番人気ペルーサ(牡3=藤沢和厩舎)が入り、さらに1馬身半差の3着には佐藤哲三騎乗の2番人気アーネストリー(牡5=佐々木晶厩舎)が好位から粘りこんでいる。

台風一過もなんのその! 女王が輝く独り舞台

一気の加速で後続を置き去り……圧巻の快勝劇だった 【スポーツナビ】

 まるで役者が違う。「台風の方がブエナビスタに気を遣ってくれたんじゃないかな?」と言った鞍上スミヨンの冗談が、まるで本当なのではと思うくらい――つまり、ブエナビスタの走りを邪魔してはいけないと、台風自らが日曜の関東直撃を避けてくれたのでは?と思ってしまうくらい、女王は曇り空のもと輝いていた。
 残り300メートル付近で馬群の中からグイッと姿を現すと、あとはスミヨンとブエナビスタ、2人だけの世界。ジョッキーはステッキも打たずに2度、3度と後ろを振り返る余裕すら見せていたが、もちろん、独走する女王に邪魔を入れられる馬がいるはずもない。そのままグングンと突き抜けて、圧勝のGI・V5を達成した。

 「日本で一番強い馬に乗れたことを本当にうれしく思います。彼女のこれまでのレースを何度もビデオで見てきたけど、きょうのレースがベストだったと思うよ」
 自身も大満足のレースができたとあって、インタビューではニッコリのスミヨン。テン乗りの馬で好成績を挙げられる要因を「シークレット(笑)」と秘密にしたが、騎乗前にビデオでブエナビスタのレースを何度も繰り返し“予習”する研究熱心さも、一つの要因なのだろう。
 「これまでのブエナビスタは、後方から届かずに少しだけ負けていたレースもあったし、外から行くのも難しいと思っていた。だから今回は中団のあの位置から行きました」
 好スタートから枠なりのままちょうど中団のインをキープ。引っ張りきりの手応えのまま馬なりでジワリ番手を押し上げると、あとは直線のどこで馬群の中から抜け出すか、そのタイミングをうかがうだけ。そこも「僕よりも彼女の方が分かっていた」と、ブエナビスタが自らエンジンをかけ、府中の杜・女王ひとり舞台を完成させたのだった。

1/2ページ

著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

新着記事

スポーツナビからのお知らせ

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント