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テクノロジー導入へ踏み出さざるを得ないFIFA

IFABの方針転換

ランパードの幻のゴールがきっかけの1つとなり、FIFAはテクノロジー導入の再検討を決めた
ランパードの幻のゴールがきっかけの1つとなり、FIFAはテクノロジー導入の再検討を決めた【Getty Images】

 サッカー界の各種規則を決定するIFAB(国際サッカー評議会)は20日、ゴール判定に限り、審判を補助するテクノロジーの導入を再検討すると発表した。これを受け、FIFA(国際サッカー連盟)は11月末を期限として、世界中の企業からゴール判定技術のプレゼンテーションを受け付けることになる。


 さかのぼること7カ月、IFABは3月6日に行われた年次総会においてレフェリーの判定にテクノロジーを導入することを却下した。「サッカーにハイテク技術を用いるべきか?」というシンプルな問いに「ノー」を突きつけたのだ。とはいえ、委員会が満場一致だったわけではない。北アイルランド、ウェールズ、FIFA(国際サッカー連盟)は反対。イングランドとスコットランドは賛成した。


 FIFA事務局長のジェローム・バルクはこの時、「テクノロジーがサッカーを侵すべきではない。サッカーは人間のものであり続けてほしいし、それがサッカーの美というものだ」と語った。北アイルランド協会のパトリック・ネルソンも「これからもファンは試合について語り合い、楽しむのだ」と続けた。


「もし、ゴール判定において最新技術を導入するというなら、ほかのシチュエーションではどうか? オフサイド、物議を醸すようなプレーなど、いちいちビデオ判定を行うのか。われわれは、従来のゲームを持続させたいのだ!」とバルケ事務局長。ウェールズ協会のジョナサン・フォードは「しばしば試合が中断されるのをわれわれは望まない」と応じた。

W杯での大誤審

 かねてよりテクノロジーの採用に消極的な姿勢を見せてきたIFABやFIFAが、半年あまりで態度を変えたのは、やはり南アフリカでの出来事が大きい。世界が注目するワールドカップの舞台で、レフェリーの誤審が大きくクローズアップされたからだ。


 特に物議を醸したのが、決勝トーナメント1回戦のドイツ対イングランド戦だった。1−2で迎えた前半38分、フランク・ランパードのループシュートはゴールラインを越えていたが、主審はノーゴールの判定を下した。これが決まっていれば2−2となったはずだが、試合は1−4でイングランドが敗れた。アルゼンチン対メキシコでも、ゴールを決めたテベスのオフサイドが見逃されている。限られた状況において“人間の力”だけでは試合をさばき切れないことを、テクノロジー否定派も認めざるを得ない出来事だった。


 すでにサッカーは世界的な事象となっている。不公平な判定は試合の成り行きや結果を左右するだけでなく、場合によっては両チーム間の関係悪化など、サッカーにおける政治的な衝突を招く可能性もあるのだ。テクノロジーの力を借りて不当な判定を解決することができるならば、それもひとつの方法である。

 W杯欧州予選のプレーオフ第2戦、フランス対アイルランドでは、ティエリ・アンリのハンドが見逃されてウィリアム・ギャラスのゴールが生まれ、フランスが本大会への切符を手にした。ゴールのみならず、ハンドやオフサイドの判定にもハイテク技術を導入するかどうかは、議論の分かれるところではある。

セルヒオ・レビンスキー/Sergio Levinsky
セルヒオ・レビンスキー/Sergio Levinsky

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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